1126 井筒高雄浜松講演
    「自衛隊と日本はどう変わるのか」

20151126日、浜松市内で井筒高雄さんの講演「自衛隊と日本はどう変わるのか」がもたれた。主催ははままつ政経文化フォーラムであり、100人ほどが参加した。

 

井筒さんは、陸自朝霞・普通科第31連隊のレンジャー隊員だったが、PKO法制定による派兵は契約違反と退職し、その後、兵庫の加古川市議を2期務めた。井筒さんは、自衛隊入隊の動機から話をはじめ、PKO法制定による退職、集団的自衛権と個別的自衛権の違い、米軍や多国籍軍との自衛隊の一体化の問題、南スーダンの実情などを示し、今後の課題などについて話した。話のなかで印象に残ったことがらをまとめておこう。

PKOの名で戦争へ

安保法制が成立した919日以降、自衛隊は世界紛争に参加をするようになったのであり、自衛隊員は再宣誓させるべきである。PKOでの治安維持、駆け付け警護、国際連携平和維持活動は武器を使って制圧するということであり、ようするに戦争である。これまで憲法9条があったから、PKO活動で自衛隊員の命が守られてきた。PKOの活動は国会では事後承認でよい、PKOによって戦争に加担するようになる。

●撤収すべきスーダンで駆け付け警護へ

南スーダンは内戦状態であり、PKO5原則は守られず、撤収すべきなのに、自衛隊に駆け付け警護をさせようとしている。アフリカなどへの派兵のために自衛隊はアメリカやフランスとともに、ジブチに基地を作り、基地内を治外法権とするような不平等な協定を結ばせている。

●アメリカ軍事費削減のために自衛隊を利用

アメリカの軍事費は68兆円に及ぶ。このような膨大な軍事費を削減するために兵站部門のアウトソーシングをおこない、民間軍事会社に委託させた。民間軍事会社の死者に対して、国は責任をとろうとしない。基地建設、兵器輸送、食事管理、兵站輸送だけでなく、戦闘まで委託するようになった。それを自衛隊が担うようになる。安保法制は戦争ビジネスの一環だ。アメリカの国益による戦争を自衛隊が担うことになる。アメリカの負担と責任の肩代わりをする。得をするのは軍需産業だ。

戦争では兵站が狙われる。非戦闘地域での死者の方が多い。若くて未熟な兵士が戦場に送られるのは、死んでも安あがりだから。戦争をすれば機密が増え、人びとの自由が無くなる。

●自衛隊員の命の軽視と政治の道具化

自殺者を精強な自衛隊をつくるための自然淘汰とみなしている。戦死者が増えれば自殺者も増え、PTSDも増える。自衛隊のブラック企業化がすすみ、充足率が低下する。現在の士クラスの充足率は7割だ。陸自の14万人のうち、実戦用のレンジャー隊員などは5000人ほどであり、5%にすぎない。自衛隊には実戦の備えはなく、戦場で戦傷者への救護はできない。軍隊ではないから、相手を殺せば、刑事罰の対象になる。

自衛隊員の命は軽くみられている。政治の道具でしかない。自衛官が死ぬのを待っている。死を利用しようとしている。

政治のけりは政治でつけよう。安倍の政治で立憲主義が崩された。その政治を終わらせるために、党派や信条を超え、戦争法を廃止できるような議員を国会に送ろう。                  T