3.13掛川 高田健「戦争法の廃止へ!総がかり行動の現場から」

 

2016年3月13日、掛川市内で高田健さんによる講演「戦争法の廃止へ!総がかり行動の現場から」がもたれた。この講演会は掛川の9条の会が企画したもので、70人が参加した。講演で高田さんは以下のように話した。

 

 高田健「戦争法の廃止へ!総がかり行動の現場から」

●「新たな戦前」と攻防する時期

 安倍首相は次の参議院選挙で勝利し、任期中に改憲をすると公言しています。なぜでしょうか。昨年9月に戦争法は制定しましたが、憲法9条はいまも生きています。憲法がある限り、戦争法には限界があります。安倍にとって集団的自衛権を行使するには憲法が邪魔なのです。首相自身が改憲を公言することなど、立場上、言ってはならないことなのですが、それをしているわけです。

 329日には、戦争法が施行されます。南スーダンではすでに自衛隊350人がPKO派兵されていますが、駆け付け警護や治安維持の名で現地の少年兵と交戦する状況が生まれます。参院選挙前に交戦し、自衛隊が少年兵を殺したなどと報道されると選挙に不利になりますから、11月に延期したのです。中東でのISへの空爆支援も求められるでしょう。朝鮮半島ではいま韓国軍30万、米軍1万を動員しての軍事演習がなされ、一触即発の情勢です。戦争になれば、朝鮮半島への自衛隊の派兵もなされるでしょう。南シナ海をはじめ、自衛隊がいつ、どう使われていくのか、わからない状態になります。

329日以後は、文字どおり「新たな戦前」となるわけです。日本による海外での戦争が現実のものになります。この危機を感じ取り、闘わねばなりません。ここに集まられた皆さんのように、時代の流れをつかみ、それに抵抗する人びとが大切です。

沖縄の辺野古問題での和解の受け入れも選挙対策です。衆参同時選挙もあるのかもしれません。参議院選挙で3分の2をとって改憲するため、しゃにむにやってくるでしょう。

しかし、安倍の自民党総裁の在任時期は20189月までです。在任中の参院選は今回だけです。今回は半数の121議席が改選されますが、内訳は、比例代表48・選挙区73であり、一人区は32、二人以上は13選挙区(42人)です。現有は32議席ですが,3分の2を阻止するのは49議席が必要です。野党共闘を実現し、自公による参議院での3分の2を阻止すれば、改憲はできません。安倍の改憲のもくろみを止めることができるのです。

 

2015年安保闘争の教訓

 ではどうしたら、この改憲の動きに勝てるのでしょうか。やはり、戦争法に反対した2015年の、戦争させない9条壊すな総がかり行動の経験をまとめ、今後の運動に生かすことでしょう。

 この2015年安保闘争ということができる闘いの第1の特徴は、戦後、分裂してきた反戦平和の運動を「総がかり」の形で、実行委員会形式でつくりあげたことです。国会前12万人の結集を生み、全国100万人の抗議行動がおこなわれました。市民団体、1000人委員会、共同センターなど3団体が手を組み、多くの市民がそこに参加し、シールズやママの会、学者の会、立憲デモクラシーの会などあらたな団体が設立され、運動を担ったのです。830日、914日には国会正門前の路上が参加者によって解放されたのです。60年安保闘争以来のできごとです。

また、この運動は非暴力市民運動として、市民の自覚とともに自律的に貫徹されたのです。国会前での市民の結集が、野党間の共闘を生み、野党党首が市民の前で手をつなぐ状況をつくりました。総がかりの結成、自立した市民の登場、あらたな団体の結成、非暴力市民行動の維持、野党間の共闘形成と、まさに60年安保闘争以来の最大の反戦平和の運動が形成されたのです。

 

●今後の課題

戦争法は制定されましたが、19日行動が継続され、2000万人統一署名も始まりました。12月には2015年の安保闘争を闘った団体が共同して、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合が生まれました。総がかり行動、シールズ、ママの会、学者の会、立憲デモクラシーの会などが中心です。そして野党に参院選での共闘を申し入れ、219日には戦争法廃止の共同提案と安倍退陣、国政選挙での野党共闘への合意を実現させました。

党首会談での確認事項は、安保法制の廃止と集団的自衛権の閣議決定撤回を共通の目標とする、安倍政権の打倒をめざす、国政選挙で与党勢力・補完勢力を少数においこむ、国会や国政選挙などあらゆる場面でできる限りの協力をするというものです。これを受けて政党間の協議が始まりました。統一候補の取り組みもすすんでいます。日本の政治史でも画期的なことです。

次回の参議院選挙は、戦争法廃止・立憲主義の復権にむけて、戦争か平和かの選択を問うものになります。総がかり行動実行委員会、市民連合などを基盤に、野党の共同を実現し、安倍政権を倒す歴史的な闘いです。2000万人署名はそのための道具です。

一人でもたつスタンディングが各地で生まれています。かつて小田実は「一人でもやる、一人でもやめる」といいましたが、そのような動きです。「民主主義ってなんだ、これだ」と答えるコールも生まれました。長野の若者たちは「ぼくしゅけ」を名乗っています。「僕らが主権者って知らなくて委員会」の略です。いまは憲法の3原則を生かすために市民革命の過程であると語る論者もいます。わたしも社会を新しくつくり変える運動をすすめていきたいと思っています。 

(要約)