日本国首相様                    2016年6月4日

防衛大臣様                   人権平和・浜松

浜松基地司令様                 NO!AWACSの会浜松



伊勢志摩サミット警備にともなう対テロ作戦と人権侵害への抗議・要請書

 

 グローバリゼーションによる格差が拡大するなか、それをすすめる者たちが、サミット(頂上)を自称し、会議を開く。そのような会議の形態と内容については、数多くの疑義が出されているところである。国際的な民主主義の視点からみれば、一部の政府指導者によるサミットなるものへの批判は当然のことである。

国際的な批判を無視し、日本政府は伊勢志摩サミット開催を最優先し、600億円もの国税を費やした。そこで示されたものは、首相の浅薄な経済認識と伊勢神宮参り、謝罪なき米大統領の広島訪問であった。そこでは、対テロ戦争への共同が示されたが、紛争の原因となっている金融資本や格差拡大への十分な規制は示されなかった。他方、このサミットを利用し、国賓警備を口実に対テロ戦争の作戦が実行され、人権侵害がすすんだ。わたしたちはそれに強く抗議する。

 航空自衛隊浜松基地はこの作戦の前線基地となった。空自はサミット会場の警戒監視のために浜松の空中警戒管制機(AWACS)や御前崎のレーダーを使用し、さらに三沢の警戒機E2C、那覇の戦闘機F15を浜松基地に飛来させ、即応態勢をとった。AWACSは深夜も浜松基地を離発着し、F15の轟音が浜松基地周辺に響いた。さらに装甲車両で基地内を巡視し、市民を威嚇した。

 海上自衛隊は、名古屋港金城埠頭に、ヘリ搭載空母いずも、護衛艦いかずち・ふゆづき、ミサイル艇はやぶさ、掃海艇はつしまなどを配置、名古屋港を拠点として行動した。また、P3Cを飛行させて、海上を監視した。

 陸上自衛隊の中央即応集団は、中部国際空港でヘリ20機・300人の国賓等空輸隊を編成し、伊勢志摩への輸送をおこなった。また、アメリカは独自に大型輸送機で大統領専用ヘリを名古屋空港にもちこみ、専用ヘリと米軍オスプレイで会場に移動した。陸上自衛隊は守山・明野・久居駐屯地に化学防護部隊を配置した。自衛隊のサイバー防衛隊も投入された。

 さらに、各地に警察官が動員され、JRでは監視カメラが、関西空港ではボディスキャナーが使用されるなど、市民への監視が強化された。また、テロ対策三重パートナーシップ推進会議が設立され、市民からのテロ情報の収集がなされた。それは、グローバリゼーション批判、サミット批判の行動を、「テロリスト」とみなす動きであった。

このなかで、労働組合の名義で反対集会の会場を使用した事を「詐欺」として逮捕する、国際会議場でプラカードを掲げたことを「建造物侵入」として逮捕するという、治安弾圧もなされた。それはサミットに反対する行為を犯罪視するような政治態勢のなかでなされた人権侵害である。

わたしたちはこのような、サミットの国賓警備を口実にした対テロ戦争の作戦の実行に強く抗議し、このような作戦を2度とおこなわないことを求める。政府はグローバリゼーション批判、サミット批判の権利を認めるべきであり、生活監視や不当な逮捕などの人権侵害を中止すべきである。政治を担う者は、「サミット」といった自惚れた頂上意識を克服し、民衆の生活の痛みに心を馳せ、民衆のために尽くす心を持つべきである。

以上、要請する。