殺されてたまるか
静岡地裁の再審決定から3年を迎える2017年3月26日、浜松市民協働センターで集会がもたれ、50名が参加した。主催者あいさつの後、袴田事件弁護団の間光洋氏による弁護団報告があった。
間氏は1966年6月30日の事件発生からの簡単な経過と、静岡地裁が3年前に下した再審決定のポイントをわかりやすく説明した。5点の衣類に残された血液のDNA鑑定、1年間味噌蔵に浸かっていた衣類の色、そして衣類に付着していた血液の色、ズボンのサイズが不自然であったこと等であると話した。
この再審決定に対する検察の即時抗告の理由は重箱の隅をつつくようなもので、直ちに即時抗告の棄却決定を求めた。この検察の求めたDNA鑑定での血液の選択的抽出法に疑義を申し立てた。「検証実験」を東京高裁が認めたことにも強く抗議していた。3年間がこのようなことに費やされ、多くの時間と貴重な税金の無駄遣いであったと述べた。
間弁護士の講演後、袴田巖さんが秀子さんに連れられて会場に現れた。少し的外れな応答もないではないが、今後の裁判のことを尋ねられると「正しくなければ勝てない」と、力強く答えていた。「このような状況になったのも皆さんのおかげです」と、感謝の言葉を残して散歩に出かけた。
この後ジャーナリストの青柳雄介氏の、巖さん釈放後の3年間を追った写真を使いながらの講演があり、釈放直後の硬い表情が次第に柔らかくなっていく様子がよく分かった。また、東京、清水、藤枝等で巖さんの支援をされている方たちの発言があり、「天竜林業高校調査書改ざん冤罪事件」、「富士機工、自死事件」の訴えがあった。
「自由にやってるんだから!」
街頭署名を終え(15:00)、三々五々定例会のため集まってきたところで、座っていた巌さんは服を着始め「パチンコに行く」と玄関へ。玄関で門奈さんたちと出会い「どこのパチンコへ行くの」と尋ねたところ「それどこじゃない」と出かけてしまいました。ひで子さんが腕時計を持って追いかけ、時計を持たせました。(15:30)
カメラに囲まれて、巖さん81歳の誕生祝いの(3/11)に会を計画していたのですが、何かを感じてそそくさと外出してしまいました。予定通り定例会を終え、17時ころから食事会を始める準備をし、主賓がいないことにはと、清水さんが迎えに出かけましたが出会えず戻ってきました。
食事も一段落したことで、再度迎えに出かけ、伝馬町の地下道をくぐってザザの前の歩道(@)で巖さんと出会いました。「巖さん」と声をかけ「時間が遅くなっていますし、家に戻りましょうよ」と声をかけたところ、「行く所がある」と道路を横切って向かい側に行こうとしました。「車がきますよ」と腕を持って止めようとしましたが、振り払い歩き始めましたので、一緒に横断しました。車の往来はなく無事横断できました。(18:30)
肴町通りを抜け、清水銀行角を右折(A)。旧ビオラ田町前の横断歩道で停止(B)。(18:45)赤信号を待ち、私の声掛けで北側に横断開始。そのまま北上。池町交差点を右折(C)。道路北側を歩き、常磐町交差点を右折(D)。道路右側を歩き田町交差点を左折(E)。北側の歩道を歩き、南側の河合塾について、「学生が勉強してます」と知らせたところ、顔を向けながら進行。遠鉄電車高架前の交差点を南側に渡り立ち止まったので(F)、「まっすぐ行くと駅です」と説明したところ「行けるのか」と言いながら高架に沿って南進。
7時を回ったことで「7時過ぎましたし帰りましょうよ」と声をかけ帰宅を促しました。それに対し「やることがある」とのことでしたので「やることは明日にしましょう。時計を見てくださいよ」と話すも無視。駅前通まで行き左折(G)して郵便局前を通過。この辺りで巖さん腕時計を見る。そのまま、駅前地下道(H)に入り、モニュメント北側で休憩。「トイレに行ってきますので待っていてください」と声かけし、戻ったところ巌さんが「しょんべん」と言ってトイレに行く。トイレから出て駅に向かって歩き始めたので後を追う。駅には向かわず遠鉄デパート方面に向かい、エスカレーターで地上に上がる(I)。遠鉄デパート広場「ソラモ」はイベント終了後の後片付け中のため、作業現場を迂回し、FMラジオ前の椅子で休憩(J)。「人が多いな」と周囲を見回す。ここで再度腕時計を見る。巖さんの前でひで子さんに電話(19:30)。
巖さんの状況を伝えたところ「タクシーで帰るように」とのことで、巖さんに「タクシーで帰りましょう。みんなもう帰りましたから」と誘ったところ「やることがある」と動かず。しばらくして移動開始。そのまま西進しスクランブル交差点で信号待ち(K)。「お姉さんに電話しますのでちょっと待ってください」と話したところ、以外に聞き入れ信号手前の花壇の囲いに腰掛待機。そこで、ひで子さに電話したところ「直ぐ行くから」とのことで、巖さんに伝えその場で待つ。
ひで子さんの到着を待ってはいましたが、5分くらい経ったところで動こうとしたため、「今お姉さんが来ますから」と話したところ「嘘言ってもしょうがない」と言われ、歩き始める。振り向いたところひで子さんがソラモを駅方面に歩いて行くのが見え、さらに巖さんに「お姉さんがそこに来ている」と伝えるものの移動開始。
「じゃあ家に向かって行ってくださいね」と声をかけ、ひで子さんを迎えに走る。ひで子さんに巖さんが家に向かって歩いて行ったことを伝え、また引き返し巖さんを追う。すでに旧松菱北側の歩道を西進中。ザザ中央館の東口から入館(L)。エスカレーターで地下へ。降りて左側のトイレの前を通り、西館地下を通過し、伝馬町地下道南側から地上へ出る(M)(三菱UFJの向かい側)。そのまま南側歩道を西進。金山神社前の交差点(N)を家に向かって渡らず、家の方角を数回見ながら通過。そのころひで子さんが北側歩道を歩いている姿を発見。巖さんに追いつき「家に行くのはさっきの交差点ですよ。お姉さんが後ろから来ていますから、家に帰りましょう」と声をかけたところ、急に道路を横切り始める。左手から車が来ていたので、やむを得ず車に止まってもらい横断(O)。巖さんがバス停の椅子に腰掛(P)けたところで、ひで子さんが直ぐ近くまで来ていることを伝えたところ「嘘ばっか言ってる」と反発し歩き始める。
歩きながら「時間が遅いので帰りましょう」との声かけには「行く所がある」とのことでしたので、「用事は明日にして帰りましょう。お姉さんが来ているので待ってください」と腕に手をかけ少し止めようとしました。それには腕を振り払いながらやや声を荒げて「自由にやってるんだから」と、歩き続けました。ひで子さんが近づくのを待とうと、腕をかけながら少しブレーキをかけましたが、さらに歩きました。中電手前のバス停(Q)に座ったところでひで子さんとドッキング。「お邪魔してすみませんでした」と、失礼をお詫びして辞去。(20:30)
◎ 約2時間同行しての感想
1 巖さんの行動を制限しようとすると、道路の横断の強行あり。
(巌さんに遭遇して直後の「家に帰りましょう」との声かけ。帰路の金山神社前の交差点を通過した際の「家に行く交差点を過ぎました」との声かけに反応。
2 道々の話しかけには多少の反応あり。
3 家に人が来ることが気に入らずか、外出してしまった訳ですが、みんなが帰ったことを知らせたところから、家に帰る気持ちになったような気がしました。
4 ひで子さんに電話をかけることを伝え、待ってもらうことが出来ましたが、ひで子さんの到着のタイミングが合わず、結局「うそつき」になってしまいました。5
金山神社前の交差点通過後の静止行動に対して「自由にやっている」との言葉はまさしく巖さんの叫びだとつくづく感じました。 (文責
寺)
袴田事件第2次再審請求の再審開始決定に対する
即時抗告の棄却を求める要請書
袴田巖さんが不当に逮捕・起訴されてから半世紀以上が経ちました。静岡地裁による再審開始決定に異議を唱えた検察の即時抗告により、袴田さんは未だ死刑囚のまま、再審無罪判決を求めて闘い続けています。
検察の即時抗告は、組織の面子を保つためになされた不当なものです。こうした無意味な即時抗告にもかかわらず、貴職らは原審で決着済みのDNA鑑定について検証実験を求める検察に引きずられ、審理をいたずらに長期化させています。今こそ勇気をもって検証実験を中止すべきです。
即時抗告審では、警察が隠し続けてきた袴田さんの取調べ録音テープが開示され、再審理由に該当する新事実も明らかになりました。すなわち、@取調室への便器持ち込みに関する偽証罪、A取調室に便器を持ち込み取調官の面前で小便をさせた特別公務員暴行陵虐罪、B弁護人との接見を盗聴した公務員職権濫用罪、C犯行着衣とされたズボンの寸法札に関する実況見分調書を偽造した有印虚偽公文書作成罪など、警察官が捜査や公判で数々の「職務に関する罪」を犯していたのです。
30歳で逮捕された袴田さんは今年(2017年)3月で81歳になります。冤罪によって奪われた歳月を取り返すことは出来ません。いま袴田さんは、故郷の浜松で姉・ひで子さんと暮らしていますが、拘禁反応による妄想障害は続いています。再審無罪判決を聞くまでは、袴田さんの真の「心の解放」はあり得ません。
貴職らは、これ以上の拘束は「耐え難いほど正義に反する」として袴田さんを獄中から解放した再審開始決定を真摯に受けとめ、直ちに即時抗告を棄却すべきです。
【要 請 事 項】
司法の正義を具体的かつ早急に実現すべく、捜査機関が保有する全ての証拠を開示させ、貴職が検察の即時抗告を直ちに棄却するよう求めます。
袴田巖さんの再審無罪を求める実行委員会
構成団体 日本国民救援会/日本プロボクシング協会袴田巖支援委員会/袴田巖さんの再審を求める会/袴田巖さんを救援する清水・静岡市民の会/袴田巖さんを救援する静岡県民の会/浜松・袴田巖さんを救う市民の会/無実の死刑囚・袴田巌さんを救う会
袴田巖さんの再審無罪を求める
浜松の活動にご協力を
◎ 東京高裁への要請署名活動
毎月第2土曜日 浜松駅前北口広場にて 午後2時から3時まで
5分でも10分も構いません一緒にご参加お願いします。
◎ 東京高裁要請署名とカンパへのご協力に感謝いたします。
署名は三者協議の開催に併せた、要請行動のたびに全国の皆さんのものと一緒に提出しています。引き続き、署名とカンパに温かなご支援、ご協力をお願いします。
◎ カンパ送金先です。
ゆうちょ銀行 浜松船越
浜松 袴田巖さんを救う市民の会
口座記号番号
00890−7−183799
◎ 浜松 袴田巌さんを救う市民の会