浜松市は教育出版「道徳」教科書の採択撤回を

2017年9月8日、浜松市教育委員会に以下を要請した。


 

                               201798日                  

浜松市教育長・教育委員様                    人権平和・浜松

 

  2018年度小学校での教育出版の道徳教科書の採択に抗議し、その撤回を求める要請書

 

 20178月、浜松市教育委員会は、2018年度からの小学校の道徳授業で、教育出版の道徳教科書を採択することを決めました。私たちはこの採択に抗議し、その撤回を求めます。

 教育出版の道徳教科書については、下町工場での安倍首相や東大阪市野田市長など現職政治家の写真を使用していること、かつて修身で使用されていた立志伝の人物が採用されていること、過去の戦争を正当化するという歴史修正主義を主張する立場の日本会議や育鵬社と関係の深い学者が編著者となっていること、伝統文化や公共の精神を示しながら国家や天皇中心の考えが強いことなどの問題点が指摘されてきました。

 そもそも、道徳を教科とし、その授業を通じて、評価すること自体が、人権に反するものです。この間の安倍首相による「教育改革」は、2006年に教育基本法を改悪し、行政による教育委員会への介入を強め、教員の免許を更新する制度をつくり、教員への勤務評定を強めるというものです。それは国家による教育現場への支配を強めるという動きです。道徳の教科化は、市民や教育現場での反対の声を押しつぶしてのことでした。

この道徳教育の強化の背後には、日本会議や日本教育再生機構などの過去の戦争を正当化する動きがあり、育鵬社は、貝塚茂樹「13歳からの道徳教科書」、柳沼良太「はじめての道徳教科書」などを出して、道徳の教科書案を作ってきました。この道徳教科書案を作った人たちが教育出版の編著者となっているのです。

現職政治家にはさまざまな評価があります。私たちは安倍首相を、森友・加計問題などの対応から、愛国を語りながらも国を私物化し、憲法を破壊しようとする人物と評価します。かれを大好きな人もいますが、評価が分かれることは事実です。東大阪市野田市長は育鵬社公民教科書採択に介入したと議会で追及された人です。安倍首相の写真を載せたのは、教育出版の道徳教科書の編著者の貝塚茂樹氏と柳沼良太氏が、日本教育再生機構の関係者であり、安倍首相の動きと関係が深いからです。

これまで浜松市は、多文化共生をすすめ、グローバルな視点で活躍する人材の育成を目標としてきましたが、教育出版の道徳教科書の採択はその方針に反するものです。人権や平和について深く考えることのできる教科書を採択すべきです。今からでも遅くはありません。撤回してください。