べにはこべ

 

 

友人からもらった もみじの一鉢

足元には 一年中ピンクの小花を付ける

かわいい寄せ植えも

葉は繁っても 晩秋ともなると

茶色に枯れ 落葉するもみじ

 

気温のせいと思っていたが これは違っていた

水不足だと紅葉せず

先端から枯れるのだとか

これは大変と

使い古しの 八合炊きの炊飯釜に

台所で水を貯める

根菜や葉物についた土も 一度溜め水で洗う

油分や塩分 石けん分の混じらない水

野菜をゆでたお湯も さめるまで一緒に置き

庭や植木鉢に還す

何と沢山の水を無駄にしていたことか

 

サボテンも 見事な花を沢山つけ

この秋は もみじも紅葉した

今までどれ程 水が足りなかったかを

植木たちの成長が教えてくれる

 

今年の春 花を付けなかった山シャクヤクが

次の春には芽を出してくれるよう

祈りながら 水やりをする

 

 

枯葉よ     べにはこべ

 

 

紅葉が終り

山あいの田んぼの畔も 冬枯れし

陽の光が 一層心地よい頃

寒さの中でも 藪の中では

いくつものきれいな花が咲く

積もった枯葉の踏み音や

心安らぐ香りの中で

思いもかけず足元に

地味に咲く花たちを見つけるのが

嬉しかったあの頃

 

トラック何杯分もの枯葉を運び込んで

街の広場で枯葉のプール

沢山の枯葉の手ざわりや香りに

喜々とする 子どもたち

歩道の街路樹は

紅葉を楽しませる前に枝々が打ち落とされ

裸にされた幹が 寒空に身をよじる

夏には木陰をつくり

通る人を緑で癒した木々たち

色づいた瑞々しい落ち葉も

日々 子どもたちを心待ちにさせたはず

それでも

落とした葉を土に返す循環を いつしか無くし

風に舞う落ち葉を

楽しむ余裕すら無くした

人間の勝手な都合で枯葉は単に やっかいなゴミ

 

紅葉をみる旅には

大挙して 出かけていくというのに