12・17 待ったなしの元徴用工・女子勤労挺身隊問題 
                    その解決の道を探る

 

2017年12月17日、東京で「待ったなしの元徴用工・女子勤労挺身隊問題 その解決の道を探る」と題して、シンポジウムがもたれ、80人が参加した。

 はじめに、主催団体の朝鮮人強制労働被害者補償立法をめざす日韓共同行動から基調報告がなされた。基調では、韓国で大法院判決から5年にあたる5月、国際会議がもたれたが、強制動員被害者が高齢となり、早急な解決が求められること、動員被害者に損害賠償請求権があること、強制労働問題の解決が東アジアの平和の基礎になることなどを示し、企業と政府がこの問題の包括的な解決をすすめ、被害者側との協議の場をもつことを求めた。

 シンポジウムでは、歴史研究者の吉澤文寿さんが、被害者の人権回復、再発防止のための教育、過去事を学ぶための資料整理などによる植民地責任の清算について話した。記者の五味洋治さんは韓国への上から目線の記事が多いことを批判しつつ、強制労働の問題を現代も続いている人権問題としてとらえ直すことを提起した。

弁護士の張完翼さんは、強制動員をめぐる韓国での訴訟には16件があるが、大法院ではまだ判決が出ていない。被害者が生きているうちに大法院は判決を出すべきであると話した。また、強制動員調査支援委員会は活動を終え、行政安全部の下の過去事歴史関連業務支援団に強制動員被害支援課と被害調査研究課が新設されているが、新たに強制動員調査支援委員会設立をめぐる動きがあることを示し、強制動員被害救済の人権財団設立の動きについても紹介した。

弁護士の川上詩朗さんは政府の「解決済み」論を、思考を止めるもの、被害と加害の構造を逆転させ、加害者が誠実な謝罪をしないままになる、何を蒸し返すのか、日本はやるべきことをやっているという対応を生み、メディアがその論調をとるようになる、国際的な人権認識をできないようにするものと批判した。また、その本質は人権問題であり、国ではなく、被害者、市民が解決を判断するものであるとした。そして、この被害の実態をどう伝えるのかが問われている、個人の賠償請求権は無くなっていない、企業を巻き込む運動をどう作るのかが課題と話した。

 これらの問題提起の後、賠償請求権についての意見交換がなされた。日本国内での戦時の強制労働について今も続く人権侵害問題としての認識が深まり、その解決に向けての運動がすすむことが求められる。日本政府が戦時に強制労働があったことを認めること、それが第1の課題である。(T)