4・6浜松市の水道民営化の中止を求める要請行動

 2018年4月6日、浜松市の水道部に対し、以下の要請書を提出し、民営化の中止を求めた。要請行動には13人が参加し、全員が意見を述べ、民営化反対の意思を伝えた。また、政府からの補助金1億3700万円の使い道、上水道民営化の計画の今後、資料の所在、コンセッション方式、ウオーターシンフォニーの経営実態などについての質問が出された。
 以下、参加者の声
 水は人権、利益の対象とすべきではない
 一時は安くなっても、後が大変
 水は公営維持、貧困者が水を飲めない状況になりかねない
 水を多国籍企業に取られることは生死の問題
 市民に事実を明らかにしてほしい
 再公営化が現状であり、民営化の失敗から学ぶべき
 民営化による水の管理には不安
 金・利潤のためでなく、市民のための水を
 諸外国での問題発生について学ぶべき
 水メジャーのヴェオリアが支配することは問題
 水のグローバル企業による支配に加担するな
 ウオータージャスティスが主流の時代になぜ、民営化するのか

 

浜松市長様                        
201846

浜松市水道事業及下水道事業管理者様

                人権平和・浜松
                       浜松市の水道民営化の中止を求める市民有志

                             

 

浜松市の水道民営化(コンセッション)の中止を求める要請書

 

 浜松市は上下水道事業の民営化(コンセッション)をすすめています。ここでのコンセッションとは、市が所有権を維持しつつ、運営権を企業へと一定期間、売却するやり方です。わたしたちはこのコンセッションによる浜松市の水道事業の民営化に反対し、水道事業の公営事業としての維持・強化を求めます。

 水道法には、水道を計画的に整備し、水道事業を保護育成することで、清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もって公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与する。国及び地方公共団体は、水道が国民の日常生活に直結し、その健康を守るために欠くことのできないものであり、その使用に関し、必要な施策を講じなければならないと記されています(要約)

水は人間の生命に、なくてはならないものです。水は人権であり、水道法の理念からも、水道事業は公的な事業として運営されるべきです。水道事業は、利潤追求の対象とすべきではありません。浜松市のすすめるコンセッションの名による民営化は、2017年の浜松市による民間企業への意向調査にみられるように、企業中心の発想であり、市民の共通理解のないままにすすめられています。「水道事業を民営化してしまって本当に大丈夫なのか」、「費用はかかっても、水道は公共事業ですすめてほしい」という市民の声を大切にすべきです。

浜松市のコンセッションの説明には、「運営権を設定」と記されていますが、その本質である「運営権の売却」が示されていません。20184月から下水道の運営は、特別目的会社の浜松ウォーターシンフォニー(株)が担いますが、この会社はフランスの多国籍水企業ヴェオリアの日本会社など6社が中心になって設立した会社です。下水道の運営権対価は25億円とされていますが、企業側は利潤予測・うま味があるから契約したのであり、市民の水や人権を守るために契約したのではありません。下水道のコンセッション契約が結ばれた201710月、下水道の使用料の基本料金が50%ほど値上げされました。浜松市は値上げとコンセッション契約とは無関係といっていますが、民営化以後の収入増につながるものです。

 日本政府は民間資金等活用事業推進室を作り、何億もの資金を用意して、コンセッションを推進しています。それに乗り、浜松市は国から13700万円もの補助金を得て、20172月に補正予算を組み、水道でのコンセッションの導入について調査をしました。浜松市は、老朽化、事業費、職員減などを口実に、コンセッションありきのやり方で民営化をすすめようとしています。しかし、老朽化対策は市主導でもすすめることができます。運営権の売却で事業費が削減できても、公営の水道事業は弱まります。浜松市は人員削減ではなく、雇用を増やし、人材を育成すべきです。この間の非正規化や人員削減をすすめる市の政策を見直すべきです。この間、政府がすすめてきた民間資金等活用や国家戦略特区の動きには、一部で国の私物化と指摘される事件が顕在化するなど、問題があります。

 新自由主義の下、1980年代から世界各地ですすめられた水の民営化は、利潤第1の管理運営、短期収益の優先、長期投資の不足、水道料金の値上げ、労働者の非正規化・人員削減、行政による監督の困難性、財政透明性の欠如、投資・財政での企業秘密の増加など、多くの問題を生みました。現在では水の再公営化がすすんでいます。パリでは、ヴェオリア(ヴィヴェンディ)社とスエズ社が25年契約を結びましたが、水道料金は値上がりし、水問題が市長選の争点となり、結局、再公営化されました。水の民営化には、数多くの問題があるにもかかわらず、浜松市は民営化を率先してすすめていいます。その姿は異様です。

 

繰り返しますが、水は、市民の生存の基礎であり、利権や利潤追求の対象とすべきものではありません。水は人権であり、生存と衛生のために公的な水道事業が維持されるべきです。ヴェオリアなどの水メジャーに浜松の水の権利を売り渡してはいけません。浜松市は市民の水と命を大切にする市政をすすめるべきです。私たちは主権者として、生存と自治の権利をもって、浜松市の上下水道民営化の動きに抗議し、その中止を要請します。