8・22浜松市水道部説明会参加記
2018年8月22日、浜松市上下水道部による出前講座として浜松市の水道事業説明会がもたれた。主催はNPOの浜松男女共同参画推進協会。
説明会の案内では、水道のコンセッション方式のためとされていたが、2時間の説明会のうち、最初の1時間は水の防災対策の説明で、無駄なものだった。後半におこなわれた浜松市水道事業でのコンセッション方式の導入検討の説明では、説明後、数多くの質問が出された。後半の説明だけで2時間とればいいのに、そうしないのは、質問数を減らしたいためであり、出前講座をおこなったというアリバイ作りのように思われた。
2005年に周辺の市町村が合併して、現在の浜松市となったが、その後、浜松市は職員の削減を進め、水道事業でも職員減と民間委託の拡大がすすめられた。水道現場のほとんどが民間委託となっている。そしていま、水道へのコンセッション方式の導入が検討されている。
その動きに対し、水道民営化反対の動きがあらわれるようになると、浜松市はコンセッションを「運営委託方式」と表記するようになった。2018年8月には浜松市のHPに、官民連携の取り組み・運営委託方式(コンセッション)に関するQ&Aをアップして、反対の声に対する反論を掲載するようになった。
今回の説明会で市側は、市民生活での不可欠なインフラである上下水道を、官民連携によって持続可能性を高め、そのために運営委託方式(コンセッション)をすすめるとした。コンセッションは効率的な経営を可能にする有効な事業方法である。資産は市が保有し、公益性・競争性は確保され、完全民営化とは違うという。
それに対し、今回の説明会では、多くの質問が出された。
説明にはメリットのみでデメリットの解説がない、民営化で切り捨てられる地域は出ないのか、民間業者がコンセッション会社によって費用を切り下げられるのではないか、完璧なコンセッション契約ができるのか、災害時には対応できるのか、市の責任で水道事業をすすめるべきではないか、運営委託に対するチェックはできるのか、大手企業が委託を受けていくが地元企業はどうなるのか、運営委託による事業費削減効果はそれほど大きくはないのではないか、コンセッションの本質は経営権の期間売却にあり、民営化ではないか。
水道部は逐一回答したが、市の姿勢は、水道でのコンセッション導入を前提とするものである。コンセッションの夢物語の構想が示されるのみで、納得できる回答は少なかった。市のHPで、反対意見を断片的な事実による誤解であると表現するように、市にとってコンセッションへの批判は反論の対象でしかないのである。
命の水はメリット・デメリットの損得の問題ではなく、生存権の維持の問題であり、公営でなされるべきものである。浜松市の水がコンセッションの対象とされるのは、その水で利益をあげることができるからである。その水の経営権を運営権対価の名で売却してしまっていいのだろうか。
PFI・官民連携・コンセッションなどの名で、水の利権を得るための仕掛けを作りあげようとする者たちがいるのである。水道のコンセッション導入にすすむ浜松市の動きを、主権者・市民の力で止めよう。(T)