3・10 「強制動員問題解決の道を探る」大阪集会報告

 

 2019310日、大阪市内で「日韓交渉から見た韓国大法院判決とは?強制動員問題解決の道を探る!」集会がもたれた。集会は、韓国の原爆被害者を救援する市民の会と日本製鉄元徴用工裁判を支援する会が主催し、80人が参加した。

集会では、太田修さんが日韓請求権協定の問題点をつぎのようにまとめた。

日韓請求権協定では、植民地支配正当論に基づいて「請求権」・「財産」問題が「解決」したとされた。そのとき、日本は、植民地支配を正当とし、朝鮮の近代化は日本によるもの、朝鮮とは戦争状況になく賠償は生じないとする立場であった。そこでは、過去の償いはなく、「経済協力」の形をとり、日本の生産物と役務で支払われた。その背後にはアメリカの冷戦戦略としての経済開発主義があった。また、当時の日韓両政府は、被害者の声に耳を傾けず、暴力を受けた人々を無視した。それは条約・協定によるもう一つの暴力となった。そこに問題がある。強制動員という過去の克服、被害者の尊厳回復が求められている。

金敏浮ウんは、大法院判決の評価と今後の課題をつぎのように示した。

大法院判決は、強制動員企業の法的責任を認め、1965年体制の法的破産を宣告し、解決への想像力を刺激するものだった。判決は日韓協定の法理的問題点を突破した。いま、日本政府に対し、追加訴訟が検討されている。韓国内では、強制動員人権財団法制定の提案がある。韓国政府は解決に向け、主導する部署をつくるべきだ。政府は、裁判を受ける権利が実現できるように動くべきである。南北朝鮮と日本とが共同し、被害の実態を調査することも求められる。

日本の裁判での担当弁護士を交えた議論では、これまで日本政府は協定で解決済み、個人請求権はあるが、裁判で訴えることができないとしてきたが、日本の裁判所は、関係者が被害救済に向けて努力することを期待した(西松組中国人訴訟2007年判決)。企業はこの方向で進むことができることなどが示された。

安倍政権はこの方向を妨げている。現在の日本政府による韓国大法院判決の否定、協定での解決済み論、強制労働の否認論などを批判し、政府に植民地支配の不法性と強制労働の問題を認識させるとともに、企業には賠償させ、包括的解決に向けて基金を形成していくことが求められている。

なお、集会では添付資料として、金敏普u韓国「強制動員委員会」の活動の成果と課題」(201812月シンポでの報告文・日本語版)が示された。ぜひ読んでほしい。 

(竹)