4.20 ここが問題!天皇代替わり 浜松講座
2019年4月20日、浜松市内で、ここが問題!天皇代替り講座を、桜井大子さんを講師にもった。20人ほどが参加した。
桜井さんは現状をつぎのようにまとめた。
●天皇退位をめぐる特例法制定の問題
最初に、天皇の退位をめぐる動きをみます。2016年7月に天皇が退位の意向を示し、翌月にはビデオメッセージで直接、国民に投げかけました。それは、退位の意を組み、法を変えてほしいというものでした。つまり天皇が国政に関与するものですから、憲法に反する行為でした。この意を受け、9月には有識者会議ができ、論点整理がなされ、衆参議院の正副議長による「調整」がなされました。この調整は、退位に関する法律を満場一致成立させるためのものでした。
2017年5月には、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」案が閣議決定され、翌月に成立しました。この法の前文には、天皇への敬愛・理解・共感などが書きこまれ、天皇の公務を認知するものでした。天皇の国政関与が認められ、天皇制度を維持したいという天皇の意思に従って、天皇制を強化するという結果となりました。
●即位・退位・大嘗祭などの儀式の問題
このような法改定を受け、2019年4月1日に新元号が示され、4月30日に退位、5月1日に即位、さらに大嘗祭がおこなわれようとしています。これらの儀式の全てが、宗教儀礼や服属儀礼であることが問題です。それは主権在民、民主主義の原則に反するものです。天皇教の国家行事化は文字通り、政教分離違反です。
代替りの主な儀式をみれば、退位及びその期日奉告の儀は、これは私事として行われましたが、宮中三殿(天照や神武ほか諸神のためのもの)や伊勢神宮、天皇陵に退位を報告するというものです。剣璽等承継の儀は、国事行為とされ、新天皇へと剣璽などが渡るというものですが、皇族の女性は排除されます。即位の宣言は高御座からなされますが、その下で三権の長があいさつするというものであり、天皇を崇め、服属するという形をとります。大嘗祭は秘儀とされていますが、大嘗宮に布団が敷かれ、そこで神に供えられた新穀を天皇自身も食し、神と交流するというものであり、天皇教の宗教儀礼です。
このように代替り儀式は、服属と宗教のための儀式です。そこに国家予算が使用されることには大きな問題があります。これらの儀式では166億円が費やされます。それは税のムダ遣いであり、政教分離原則にも反するものです。ちなみに皇室維持にかかる年予算は213億2600万円(2018年度案で「皇室費」98億6000万と「宮内庁」114億6600万の計)です。今年3月に打ち切られた原発事故自主避難者への住宅支援額約80億円と比べれば、皇室費でどれだけの被害者が救済できるのかがわかります。
●天皇代替り期間にすすむ天皇制教育
天皇代替りの期間には社会での天皇制教育がすすめられます。そこでは、万世一系の天皇が再確認されていきます。天皇は大切なもの、天皇が日本の文化・伝統を体現しているという宣伝もなされます。世襲制も正当化されます。国家ぐるみで家父長制の宣伝がなされます。「素敵な天皇」が宣伝され、天皇制の刷りこみがすすむわけです。
また代替りに伴い、天皇制の侵略戦争や植民地主義の責任は希薄なものにされていきます。それを社会が容認していくことが問題です。天皇の権威が強化され、国事行為以外の天皇の公務が正当化され、おこなわれていきます。
代替り後には、皇位継承問題も起きてくるでしょう。天皇家の家系図をみれば、皇位継承ができる男子は秋篠宮の男子の悠仁しかいません。天皇家を残すには女性宮家、女系・女性天皇まで容認していくしかないのですが、保守主義者は男系男子のみを継承者としたがります。天皇制では世襲が正当化され、生殖のための結婚が求められます。生むことの強要は、それ自体暴力だと思います。
天皇制の賛美が、天皇代替りのなかですすみますが、それは民主主義、主権在民、人権に反するものです。おかしいものはおかしいと言い、支配に抗していきましょう。
以上のような提起を受け、討論がなされた。討論では、天皇が被害者を訪問することにより、怒りを融和するという問題、安倍と比較して天皇が憲法を守っているという意識が仕組まれていること、日々の宣伝により、〇〇さま呼ばわり、平成の使用の日常化がすすんでいること、新しい天皇に新しい憲法をという宣伝、対外的には元首扱いであること、天皇制の本質として祈りによる統合力があり、それを問題視すべきこと、象徴という地位自体の欺瞞性、特赦と恩赦の違いなど、さまざまなテーマで活発になされた。
最後にバンドが君主制からの解放を歌い、講座を終えた。