10・23靖国反対共同行動15年討論会
2020年10月23日、靖国反対共同行動15年討論会がオンラインでもたれた。以下、その討論会で出された意見をあげておく。討論会で示された洪成譚の特攻兵・卓庚鉉を描いた作品「アリランを歌う」が印象に残った。
靖国神社は宗教施設ではなく、軍事施設である。靖国神社はその構造と思想において日本軍国主義の心理戦の装置であり、戦闘行為を美化・顕彰し、好戦的思想を鼓舞するものである。戦後独立宗教法人に変身はしたが、それは軍事施設を糊塗し、宗教施設のように見せかけるものである。
靖国の遊就館の図録にはインド・フィリピン・ベトナムなどが欧米帝国主義から独立したとあるが、朝鮮と台湾の日本からの独立については記されていない。創氏名で合祀されているが、朝鮮はいまだ日本の版図として位置づけられているようだ。韓国の遺族の人格権は今も踏みにじられている。
靖国神社を国際法の視点から問い直すことも必要である。靖国の存在は平和に対する脅威であり、そこへの首相閣僚の参拝は「戦争扇動」であり、平和的生存権を侵害するものではないか。
侵略した支配者側による勝手な祭祀・顕彰は許されるものではなく、国際人権法違反でもある。
国家による「慰霊」そのものを問うべきではないか。「英霊」「慰霊」という表現は靖国の思想であり、そのような表現自体を克服すべきである。
靖国神社の行為は疑似的宗教団体による疑似的宗教行為として権力的に強行されている軍事政策であり、靖国神社に対する闘いは、戦争犠牲者の人間性回復を希求するものである。
2006年の小泉首相による靖国公式参拝は、新保守主義の登場、安倍体制の序幕、歴史修正主義と戦後体制の脱却を告げるものだった。それに対抗する形で、ヤスクニ反対キャンドル行動が形成されてきた。コロナ禍の中で、右傾化と分断がすすむが、それを克服する活動が求められる。反ヤスクニを普遍的な人権と平和の問題として国際社会に提起していきたい。 (t)