3・14 デジタル監視法批判 大住広太講演

 

 2021314日、浜松のスーパーシティを考える会の主催で大住広太弁護士の講演会「デジタル監視法案によって菅政権が目指すもの」がもたれ、80人ほどが視聴した。

 大住弁護士は次のようにデジタル関連法案の問題点をあげた。

 デジタル社会形成基本法案では、理念として国際競争力や利便性をあげているが、個人情報の保護よりも利用・活用に偏っている。デジタル庁では内閣総理大臣がトップとなり、国が個人情報を一括管理し、民間からも人員登用する。使用者〔経営者〕間で労働者の個人情報の提供もなされる。マイナンバーカードを推進し、預金口座、健康保険証、運転免許証、スマホと一体化し、マイナンバーによる国民情報の一括管理がすすめられようとしている。監視社会の強化がねらいであり、デジタル庁、内閣情報調査室、警察が一体化して監視を行なう可能性が高い。それにより、市民の行動が抑制的になり、自己決定が侵害されるようになる。自分で決定しているつもりでもAIのプロファイリングによって誘導されるようになる。それは民主主義の後退である。

個人情報の保護も衰退する。個人情報を人権として位置づけ、EUの一般データ保護規則にあるように情報へのアクセス権、訂正の権利、消去の権利、取り扱い制限の権利、異議を述べる権利、自動化により決定されない権利などを日本でも確立すべきである。日本ではこのような権利の確立なしに、データの共同利用権が提示され、第3者にも提供されることになる。まず法規制を行なうべきである。

このような民主主義の衰退と個人情報保護の後退は地方自治を衰退させる。スーパーシティの動きはこの一環である。個人情報保護の強化、マイナンバーによる監視の阻止、独立した監視機関の設置が求められる。デジタル化は市民の権利の保護のために行なうべきであり、国家による監視の強化であってはならない。

同日、東京でデジタル監視法反対の集会がもたれ、そこで海渡雄一弁護士がこの法案の問題点を次のようにまとめている。

総理の目となり耳となって官邸を支える内閣情報調査室は、実質的には警察機構のトップに君臨しながら、警察組織ではないと言う理由で警察法の軛を免れ、官邸の私兵化してきた。安倍政権でながく内閣情報官を務めてきた北村滋氏が国家安全保障局長に就任した。初代の内閣情報官を務めた杉田和博氏が官房副長官として内政を、国家安全保証局長の北村氏が外政を担当することで、菅政権の下で両名とも留任している。内閣の危機管理機能強化を唱え、官邸・内閣と並んで内閣総理大臣を長とし、デジタル情報を集約するデジタル庁が内閣府を構成する官庁として全ての省庁に君臨するようになれば、官邸・デジタル庁・内閣情報調査室のトライアングルが「内務省」をしのぐ怪物的な組織に生まれ変わる恐れがある。

ここに問題がうまくまとめられている。デジタル監視法案にNO!の声をあげよう。(t)