「邦人輸送」を口実とした自衛隊統合部隊のアフガニスタン派兵に対し、抗議・要請書を送付した。

 
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日本国首相様                    NO!AWACSの会・浜松

 

 「邦人輸送」を口実とした自衛隊統合部隊のアフガニスタン派兵に対する抗議・要請書

 

2021823日、日本政府の国家安全保障会議は自衛隊統合部隊のアフガニスタン派兵を決定し、その日のうちに派兵した。われわれはこの決定と派兵に強く抗議する。派兵された統合部隊は、空自のC2(美保基地)とC130(小牧基地)、陸自の中央即応連隊(宇都宮駐屯地)、政府専用機などで構成され、300人規模である。特に現地での輸送が任務となる中央即応連隊は武器使用を可能とした武装部隊であり、100人以上という。送られた自衛隊機はパキスタンのイスラマバード空港からカブール空港に侵入して、移送を狙った。

この作戦の結果は、日本人1人と米軍から依頼されたアフガン人14人の移送であり、口実とされた日本大使館やJICAの現地スタッフ500人の輸送は全くできなかった。すでに日本大使館員12人全員は817日にイギリス軍機で出国していた。現地で移送を指示できる日本政府関係者はいなかった。米軍の支配するカブール空港の外に自衛隊は出ることもできない。米軍はタリバンと交渉することができるが、自衛隊はその回路をもたない。米軍支配下で移送ができるだけである。今回の派兵も、実態は米軍への後方支援活動である。

国家安全保障会議は201312月に特定秘密保護法と共に成立した。翌年、安倍内閣は集団的自衛権の行使を容認し、2015年には日米防衛協力の指針を再改訂し、安保法を制定した。自衛隊は米軍と共にグローバルに展開し、自衛隊は特措法なしで、恒常的に海外派兵ができるようになった。今回、カブール空港外での中央即応連隊の輸送活動は想定されてはいなかったが、空自が武装した陸自部隊を乗せて、派兵されたことは大問題である。それを国家安全保障会議のメンバーで決定し、その日のうちに派兵したという手口も大問題である。820日に防衛相は、自衛隊は派遣せずに外務書が対応すると述べていたが、そのような外交による解決ではなく、武器使用も想定した軍事行動での輸送への突然の転換も大問題である。そして、現地での空港までの十分な移動の計画もなく、米軍支配に頼り、闇雲に自衛隊を送り込んだことも大問題である。

そもそも、アメリカの20年に渡るアフガニスタン戦争はテロリストが潜むからアフガニスタンを空爆するというものであり、国際法に反する犯罪であった。アフガニスタン人同士を戦闘させ、憎悪を煽り、アメリカの傀儡のアフガン政権を作り上げた。アメリカがタリバンと直接交渉し、撤退を約束したことは、その政権の傀儡性を示すものであり、その政権の崩壊は時間の問題だった。アメリカはドローン兵器で無実の民衆を数多く殺戮したが、それも反人道的犯罪だった。

アフガン人の未来はアフガン人自身で決めるしかない。軍事ではなく民生での支援が大切である。日本は米軍を支援するのではなく、民生協力に徹するべきである。中村哲のプロジェクトにこそ学ぶべきである。アメリカとは別の形でタリバン政権と交渉し、日本人の安全を確保すべきときである。

われわれは今回のアフガン派兵に強く抗議し、再びこのような派兵を行わないよう、要請する。