3・11静岡・浜松反原発行動

2024年3月11日は福島原発事故から13年、原発再稼働に反対する静岡県ネットワークは静岡県と中部電力に原発反対の要請をおこなった。中部電力静岡支店の前では横断幕を広げ、浜岡原発の廃炉を訴えた。この行動には30人ほどが参加した。

 

夜には県内各地で反原発の集会やデモが行われた。浜松駅前では市民60人ほどが参加して集会がもたれた。参加者は、今政府がすすめる原発再稼働の動き、汚染水放出の動きに抗議し、浜岡原発の廃炉を呼びかけた。

以下は集会アピール(要請書)

2024年3月11日

中部電力社長様                                          

浜岡原発の廃炉を求める要請書

                             やめよう原発3・11浜松市民集会

2011年の福島第1原発事故から13年、事故の処理は終っていません。しかし政府は深刻な放射能汚染の実態を復興や風評の名で隠しています。さらに原発の稼働期間を延長し、再稼働をすすめています。そして昨年、東京電力は汚染水を処理水の名で海に放出しはじめました。

2024年1月の能登沖地震が教えるように、巨大地震では地形が大きく変動し、家屋は倒れ、道路は寸断され、電気・水道は止まり、物流は途絶えます。日本列島は4つのプレートが重なる上にあり、地震と津波で原発の大事故が起きる可能性が高いのです。避難は無理です。

中部電力は浜岡3・4号機の再稼働に向けて、規制委員会に申請し、メディアを使って原発の安全を宣伝しています。防潮壁は作りましたが、予想される津波の高さに足りていません。浜岡原発は震源域の上にあり、地震で大事故をおこす可能性が高い施設です。中部電力による原発での利潤追求により、市民が地域と生活を失うことはあってはならないことです。浜岡原発の再稼働計画を止め、廃炉を選択すべき時です。

1 浜岡原発3・4号機の再稼働申請を撤回し、廃炉を決定すること

2 原発の安全を宣伝する新聞広告や講演会を中止すること

3 市民に対し浜岡原発に関する資料を公開すること

4 1・2号機の拙速な廃炉を止め、安全第一の処分をおこなうこと

5 独占的なカルテルや談合などの不正行為を中止すること

5 旧浜岡町や佐倉地区対策協議会に渡した裏金のすべてを公表すること

 

以下は、浜岡原発の再稼働を許さない静岡県ネットワークの要請書

 

静岡県知事  川勝平太 様

2024年3月11日

浜岡原発の再稼働を許さない静岡県ネットワーク

            

            中部電力浜岡原子力発電所に関する質問及び要請書 

 

  日頃県政のために奮闘され、ありがとうございます。JR東海のリニア中央新幹線静岡工区工事に対し大井川の水源や南アルプスの自然環境を守る為に奮闘されていること、とりわけ理不尽な自民県連の言葉狩りや同調するマスコミにもめげずに、県民の命と生活を守る活動大変ごくろうさまです。

 さて、新年早々、元旦に発生した能登半島地震は日本列島が「大地動乱の時代」・大地震活動期に入っていることを物語っています。志賀原発では震度5強、399ガルで1系列の電源が停止した欠陥原発。海岸線で4mの隆起、建屋でなかったことが不幸中の幸い。もし再稼働中だったら苛酷事故不可避だと言われています。

半島で閉じ込められ避難できない能登住民を見て、川勝知事は4日新春会見で、浜岡で事故があればこの厳冬期にどう逃げればいいのかと危惧を表明されました。こんな中、県原子力学術会議は1月12日、中電の1~4号機1200ガル、5号機2000ガルという基準地震動をおおむね妥当といち早く結論づけました。中電の再稼働への動きをこんな簡単に是認していいのでしょうか。

こうした状況を踏まえ、私たちは以下の質問及び要望を提出いたします。知事の回答、見解を文章で頂くか、または原子力防災の責任者で知事の見解を直接知りうる立場の危機管理監、または管理部長から直接の説明を受けながら文書回答を求めたいと思います。よろしくご配慮お願いします。なお回答は5月末日までにお願いします。

 

                                     記

 

 1.私たち県ネットは、浜岡再稼働の是非を関係自治体で審議する際は、第一義的にはUPZ圏11市町と考えていますが、県知事、県議会で県の意志表示をはかる際には、第二議的には全県35市町の意志表示を諮ることが必要だと考えています。このことは、知事も10年以上前から、記者会見、県内外のマスコミ取材で「全ての県内市町、県民にかかわる問題で意志表示をはかる必要がある」が持論だと伺っています。危機管理部も同様な認識ですか。

 2.1月4日の川勝知事の新春記者会見での、能登地震を見て、「南海トラフ地震で原発の複合災害が起これば、厳冬期でどう避難したらいいか」という発言は、広域避難が無理筋だということを認識しているのではありませんか。本県も能登半島と同じく、道路の寸断、地盤隆起で避難困難、家屋倒壊、津波で一刻も早い避難が必要となり屋内退避で指示を待つ余裕はありません。モニタリングポストも倒壊、実測値も測れず、ヨウ素剤配布もスクリーニングも不可能な事態が推測されます。危機管理部としてどういう認識を持っていますか。

 3.この1月、県原子力学術会議の原子力分科会と地震火山分科会の合同会議が開かれました。①学術会議の目的が浜岡原発の防災について科学技術的観点から県民に情報を発信すると謳われていますが、県民のほとんどは学術会議の存在すら知りません。どのような広報をしているか、実例を挙げて説明して下さい。➁今回の会議で中電の基準地震動(1~4号機1200ガル、5機2000ガル)が「おおむね妥当」と結論づけしましたが、能登半島地震での志賀原発の分析、検証も終わってない段階で性急すぎると思います。知事はどういう認識を持っているのでしょうか。危機管理部も学術会議と同じ認識なのですか。➂会議でも、中電の基準地震動に疑問を呈する委員もいました。原発推進の学者、専門家に偏っていることが議論の大勢を決めていると思われます。委員の推薦、委嘱はどのように決められているのですか。④過去、県ネットに回答された危機管理部長代理、安全対策課長は、学術会議では「再稼働そのものの議論はしない」と繰り返されましたが、今回の地震動、例えば次回に基準津波高を議題にしていけば、結局再稼働の安全性の是非を論議することになりませんか。

 4.昨年12月、経産大臣としては12年ぶりに、西村経産大臣(当時)が浜岡原発を視察しましたが、県としてはどういう対応をしたのですか。同行したのですか。なお、西村氏は記者会見で「地元の理解を得て、いち早く再稼働してもらいたい」と表明していますが知事はどのように受け止めましたか。

 5.新規制基準では、IAEA(国際原子力機関)の深層防護の最後に住民が避難できるという5層目の広域避難を立地条件から外しました。そのため地方自治体に丸投げして原子力災害対策指針で、UPZ圏(30キロ圏)までは広域避難計画を作れとなりました。各地の原発立地自治体では行政、住民、市民団体から広域避難計画はまずは当該電力会社が関与作成すべきという声が出ています。茨城県では、東海第2原発の避難シミュレーションの作成を当該原電に求めて、昨年11月にUPZ圏で最大17万の避難が予想されるというシミュレーションを公表しました。本県も中電に広域避難計画の作成を要求すべきではないでしょうかか。

  6.中電は今年度、国内初の原子炉領域の解体作業に入ります。地元ではそれに伴う安全性への不安も出ています。浜岡1.2号機の廃炉作業について、廃棄物の内、クリアランス扱いの基準、その保管や分別等について前回の回答でもよく判りません。廃炉作業の安全性は把握されているのですか。再度お聞きします。

 7.2007年、中電と地元4市の安全協定締結時には、福島事故も浜岡原発停止もありませんでした。茨城県の東海第2原発での再稼動の場合の新たな第2の安全協定が必要ではないかという要望がUPZ圏の住民団体から各市町に出ています。前回までの回答では該当市町からそのような要望は来ていないとのことでしたが、リニア静岡工区の場合は県が該当大井川市町を集め意見交換を度々開いています。安全協定の見直しについても、県がUPZ圏市町を集め協議、意見交換の場を開いて戴きたいと思います。

 8.原子力防災対策訓練は、各市町ではどのように実施されていますか。また県としてどのように指導していますか。                    

                                                     以上

 中部電力株式会社

 代表取締役社長 林 欣吾様

                             2024年3月11日

                浜岡原発の再稼働を許さない静岡県ネットワーク

                申し入れ書

 

 新しい年を迎えた1月1日能登半島地震が発生し、大きな被害をもたらしました。原発に反対する私たちとしては大きな衝撃を受け、頭をよぎったのは「原発は大丈夫か」「志賀原発は?」ということでした。貴社においても私たちとは違った意味で心配されたことと思います。

 地震大国である日本において地震が発生することは不思議でも何でもないことですが、東日本大震災からまだいくらもたっていない中で、2016年の熊本地震についでの能登半島地震の発生です。どちらも巨大地震です。浜岡原発を襲うと予想される南海トラフ巨大地震はM9.0またはそれを上回ることも予想されています。このことは、国も貴社も含め誰も否定していません。

  志賀原発は、最近基準地震動を600ガルから1000ガルに引き上げたばかりだそうですが、たった400ガルで電源が破損したと言われています。400ガルで破壊される欠陥原発であるとも言えます。

 浜岡原発は、基準地震動の最大加速度を3・4号機は1200ガル、5号機は2000ガルと審査会合で提示し、規制委員会はこれをおおむね妥当と了承したとされています。しかし、東日本大震災で観測された最大の地震動は2933ガル、2008年の岩手宮城内陸地震では4022ガルだったことをどう考えていますか?

 11月に開催されたCOP28では、二酸化炭素対策を口実に「原発3倍増」宣言を発しましたが、原発のライフサイクル全体では、二酸化炭素排出量は高効率天然ガス発電のそれと同様多いことが判明しています。

 危険と隣り合わせの原発、ハイコストの原発、二酸化炭素も出す原発、何よりも「被曝労働」なしには運転不可能な原発、どの視点からも不必要な原発はもはや衰退産業と言っても過言ではありません。

 何を根拠に浜岡原発再稼働を推進するのでしょうか?

以上の状況を踏まえ、貴社のモットーである「誠意をもって努力を積み重ね、変わらぬ使命を果たし、お客さまや社会からの信頼に応えます」に則り、以下の点について説明下ください。4月1日までに回答をお願いします。

1.南海トラフ巨大地震と浜岡原発との関係について

 浜岡原発は、私達も以前から指摘しているように、南海トラフ巨大地震の震源域の真上に立っています。その浜岡原発は、南海トラフ巨大地震に耐えられるとお考えでしょうか。この地震の規模をどのようにとらえているのでしょうか?また、地震の規模を想定することは可能でしょうか?可能と考えるならば、その根拠を示し、明らかにしてください。

2.再稼働推進と安全について

  1.とも関連しますが、東日本大震災で観測された最大の地震動は2933ガル、2008年の岩手宮城内陸地震では4022ガルという実態があるにもかかわらず、基準地震動の最大加速度を3・4号機は1200ガル、5号機は2000ガルと審査会合で提示した理由を説明下ください。

3.避難計画について

  昨年に引き続き質問します。避難計画の実効性に問題ありとして、水戸地裁は2021年3月、東海第二原発の運転を差し止めたことは昨年示しました。避難計画の実効性がないことを、図らずも「能登半島地震」は証明しました。すなわち、道路は寸断され、地震による津波や地盤隆起で港湾も使用不能となっています。このような状態は、浜岡原発の立地する御前崎市とその周辺でも必ず起こりうる現象と想定しなければなりません。貴社の考えを聞かせてください。