417424袴田事件第13回・第14回再審公判

2024417日と24日に袴田事件第13回、第14回の再審公判が静岡地裁でもたれた。この公判では犯行着衣とされた5点の衣類に付着した血痕のDNA鑑定に関する審理がおこなわれた。

 1980年の死刑確定判決は、半袖シャツの右肩部分の血痕を袴田さんの血液とし、袴田さんの右肩の傷と整合するものであり、犯行着衣とした。しかし、弁護側のDNA鑑定(本田鑑定)はシャツの右肩部分の血痕と袴田さんのDNA型は一致せず、また、被害者の血でもないとするものだった。静岡地裁はこの弁護側の本田鑑定を無罪の新証拠として認定し、2014年に再審を決定した。

しかし、検察の異議申立により、東京高裁は弁護側鑑定の手法を一般的に確立した手法ではないとし、再審決定を棄却した。これに対し弁護側が異議を申し立て、最高裁は2020DNAの劣化の可能性を指摘して弁護側鑑定を否定したが、衣類についた血痕の赤みについての審理が不十分とし、高裁に審理を差し戻した。その結果、高裁は20233月に赤みは残らないと判断、再審を決定した。

 417日の再審公判では、弁護側は本田鑑定をふまえて、付着していた血痕のDNA型が袴田さんのものではなく、5点の衣類は袴田さんのものではないと主張した。それは袴田さんの無罪と証拠のねつ造を示すものであるとした。

 424日の公判では、検察側が血痕は鑑定時までに40年以上が経過し、DNAの劣化や汚染の可能性もあり、弁護側鑑定が信用できないものとした。

この日、弁護側は袴田さんが第1次再審請求中の1983218日に拘置所で記した意見書を読み上げた。そこには袴田さんの「血の叫び肌あわだつ」無罪の訴えが記されていた。そこには、血染めの衣類が自分のものではなく、自宅にあったという犯行着衣とされるズボンの端切れが「警察のデッチ上げ」であり、取り調べが「拷問」であって自白をせざるをえなかったことがはっきりと記されている。

この意見書が記されてからすでに40年が経過している。袴田さんは獄中で精神を病み、法廷には出てこれない。しかし、その無実への思いはこの意見書に記され、その文面は読む者の心をつかむ。522日には結審となり、8月には判決が出されるとみられる。雨のなか、公判支援に駆け付けた仲間たちは無罪判決に向けて、さらなる活動を決意した。(t)