5・11袴田さん完全無罪へ死刑求刑を許さない静岡集会
2024年5月11日、袴田さんの完全無罪を求める集会が静岡市内でもたれ、全国から300人が参加した。集会では小川秀世弁護士が袴田裁判の経過、青木理さんと鴨志田祐実弁護士が司法と再審の課題を提示した。
小川弁護士はつぎのように事件の経過と問題点を示した。
袴田事件では捜査機関が重要な事実や証拠を隠し、証拠のねつ造が多数行われ、違法行為が徹底的に隠し通されてきた。第1次再審では証拠開示が全くなされず、弁護団にも証拠のねつ造を追及する力がなかった。第2次再審では再審決定から検察の抗告で10年がかかり、証拠の開示でも味噌のカラー写真や自白の直前直後の録音テープがなかった。弁護団はもっと早く5点の衣類の問題に集中すべきであったし、警察と検察が作った事件自体がでたらめであることを打ち出すべきであった。一人の犯人で4人を身動きできない形で殺害することは無理であるし、盗んだという袋の金の一部を共犯者ではない知人に預けるという行為はありえない。再審公判では検察の有罪立証を阻止できず、審理を蒸し返すことになった。検察には反省がない。しかし事件自体が検察官による事件の内容とは異なるものであることが遺体と傷の状態から明らかになった。この事件は捜査機関による事実の隠蔽、証拠隠し、ねつ造の違法行為によるものである。弁護も虚偽の自白を阻止できなかった。裁判所もねつ造の可能性を検討しなかった。捜査機関の違法行為を検証できるようにしなければならない。すべての証拠のリスト化、その開示が必要である。
青木さんと鴨志田さんの対談では、袴田事件には日本の刑事司法、冤罪事件の問題点が凝縮されているとされ、密室の取り調べの違法性、死刑制度への固執、ずさんな鑑定、証拠の不開示などの問題が指摘された。袴田無罪だけでなく、戦前からの法務・検察の継続性の変革、再審法の改正が求められるわけである。
日本ボクシング協会からは、ボクサーだからという理由で犯人とされたことは許せないと話し、袴田巌シートの設置、袴田支援の缶バッチの作成、名誉チャンピオンベルトの贈呈など袴田支援の経過を報告、クロスカウンターで勝訴しようと呼びかけた。
最後に袴田ひで子さんが多数の結集に感涙しながら、お礼を述べた。ひで子さんは、5月22日の結審では巖の手紙を読もうと思う。巖は無実だから負けるなんて思っていない。私は91歳になったけど元気です。裁判で勝つことが目的です。巖を死刑囚ではなく普通の人間にして(日々を)過ごさせたい。巖が助かればいいとは思わない。(冤罪を晴らそうとする)皆さんの力になりたい。巖だけでやめるつもりはないと思いを語った。
(t)