PFAS汚染を問う、清水・浜松の動き
「清水問題を考える連絡会」発足会
2024年5月18日、「清水PFAS問題を考える連絡会」の発足会があり、参加しました。
報道で知られているように、清水には三井・ケマーズフロロプロダクツ社によるPFAS汚染が深刻な問題になっています。市民有志が集まり今年2月24日の相談会から準備会を4回もって今回の連絡会の発足に至りました。発足会の後、中村賢治医師(大阪PFAS汚染と健康を考える会)、武田修三さん(愛知県民医連事務局長)が講演を行いました。
大阪の報告
PFASはストックホルム条約で規制されるようになり、日本でも製造や輸出入は禁止されています。ただし使用は禁止されていません。人体への影響はアメリカの臨床ガイダンスによれば特に注意すべき4つの健康リスクとして、腎臓がん、脂質異常症、抗体反応の低下、乳児・胎児の成長・発達への影響があげられています。PFASの血中濃度が7.3ng/ml(25mプール一杯の水に小さじ2杯分)で発がんする可能性があります。PFASは毒性が強い物質です。日本での低出生体重児の頻度をダイキン工業淀川製作所のある摂津市・隣の守口市と全国の平均を比較してみます。PFASの影響のある1999-2004年では全国平均8.9%、摂津・守口9.4%、影響のなくなった2012-2016年では全国9.5%、摂津・守口9.5%という統計がでています。PFASの影響があると考えられます。2001年、米国ウェストバージニア州のD社化学工場周辺の住民3500人が、D社を相手に集団訴訟を起こしました。D社は約863億円を支払い和解しました。日本で責任を取っている企業はひとつもありません。米国の水道水規制値はPFOA、PFOSそれぞれ4ng/Lに強化しました。日本はPFOA・PFOSで50ng/Lです(2020年4月1日設定目標値)。大阪での汚染は摂津市のダイキン工場を中心に広範囲に広がっています。大阪PFAS汚染と健康を考える会は2023年11月に発足しました。住民1192人の血液検査を実施し、現在約半数の結果が出ました。摂津市ではPFOAの値が高くなっていますが(9.41ng/ml)、これはダイキンの影響が考えられます。調査結果をもとに、行政や企業に対して環境調査や健康調査の実施を求めています。
愛知の報告
豊山町は愛知県で面積の最も小さい自治体です。県営名古屋空港、三菱重工小牧南工場、航空自衛隊小牧基地が併設されています。2023年1月30日に、豊山町民の生活と健康を守る会の共同代表から「豊山町で水道水の汚染問題が起こっています。地下水や河川から国基準の3.5倍のPFASが検出された」という連絡が民医連に入り、23年6月、54名の血液検査をしました。54名中24名が米国アカデミーの基準値である20ng/mlを超えていました。検査から、汚染源は自衛隊が使用していた泡消火剤であり、小牧基地のピットファイヤー消火訓練場であると考えられます。また河川の調査では久田良木川の三菱重工正門前の排水溝との合流地点が最も高く(74.2ng/L)、三菱重工小牧南工場も汚染源であると考えられます。IARC(WHOの国際がん研究機関)は2023年にPFOSは「ヒトの発がん性の可能性があるランク(2B)」、PFOAは「ヒトに対して発がん性があるランク(1)」に分類しました。
東京保健会・病体生理研究所がPFAS血中濃度分析装置を購入し検査を開始します。1億4000万円と大変高価な装置でしたので募金のお願いもしています。
https://www.t-kenseikai.jp/honbu/topics/post-3699/
で、「PFASガイドブック(学習資料)」を無料でダウンロードできます。
質疑応答から
・食品安全委員会が水道水とか食品中のPFOA,PFOSをどれくらいにするかということを協議していて、その報告書をみると大分緩い。食品安全委員会の今の体制では「危険だからあまり摂取しない方がいい!!」という方向にはならない。PFASは大変広く使われていて、これを規制すると大変であるとし、アスベストのときや水俣病のときと全く同じ、そこから何も学んでいない。
・大阪では住民運動としてPFASをなくすことは無理なので健康に影響のないところまで下げることを目標にしている。愛知県では水道企業団や自治体に水質検査等を要望しているが自治体は動かない。
発足会では浜松からの連帯の挨拶があり、盛会のうちに会は終わりました。
「浜松PFAS汚染を考える会」発足
今、PFASに関する住民運動は岡山県吉備中央町や東京の多摩地区をはじめ各地で起こり始めています。浜松市でも6月10日に「浜松PFAS汚染を考える会」が発足しました。浜松市の河川、地下水、井戸、土壌におけるPFAS汚染の広がりを明らかにし、汚染を除去させるように自治体・国に求めていきます。また、各地の住民運動と繋がり、学びながら活動していきたいと思います。PFAS汚染に興味を持つ方ならどなたでも参加できます。
先日、6月16日には冨塚協働センターで沖縄テレビ制作の「続・水どぅ宝」の上映会を開きました(40名の参加)。濃い内容の映画であると好評でした。
7月21日には冨塚協働センターにおいて日本のPFAS研究の第一人者である京都大学の小泉昭夫名誉教授を招き学習会を開きます。
多くの方の参加をお待ちしています。問い合わせ先 hamap2024@gmail.com 。(池)