ソウルシンポ「日本強制動員研究と活動20年・報告と評価、そして展望」報告
●「日本強制動員研究と活動20年・報告と評価、そして展望」
2024年6月4日、ソウルのプレスセンターでシンポジウム「日本強制動員研究と活動20年・報告と評価、そして展望」がもたれた。このシンポは日帝強制動員被害者支援財団が主催し、強制動員真相究明ネットワークが協力して行われた。発言内容は以下であり、報告に対しては韓国側の討論者がコメントを加えた。〇はオンラインでの報告。
セッション1は「日本での強制動員真相究明の活動と課題」である。ここでは、飛田雄一「強制動員真相究明ネットワークの歩み 2005年~2024年」、〇太田修「条約-法の脱構築と「過去の克服」近年公開された日韓会談文書から」、吉田邦彦「強制動員問題に関する近時の韓国での議論(肩代わり案)について 不法行為法学(補償法学)の側からの考察」の報告がなされた。強制動員真相究明ネットワークの20年間の様々な活動が報告され、過去の克服への視点が示され、不法行為法学の観点から第3者弁済の問題点が示された。
セッション2は「動員被害者の尊厳回復の活動と課題」である。矢野秀喜「『戦後補償運動』の歴史と課題 強制動員訴訟を軸に」、〇中田光信「日本製鉄訴訟大法院判決の意義と第三者弁済案の問題点」、〇中川美由紀「不二越強制連行・強制労働訴訟 経過と闘い」の報告があった。強制動員訴訟30年にわたる闘いの総括と共に日本製鉄訴訟、不二越訴訟を事例に訴訟での到達点が示された。
セッション3は「日本で強制労働の歴史否定の現状と課題」である。ここでは竹内康人「朝鮮人強制労働・歴史否定論の特徴」、〇川口正昭「群馬の森の朝鮮人追悼碑撤去について」、〇荻原みどり「強制連行・強制労働の展示(高麗博物館)」 の報告がなされた。日本での強制労働の歴史否定の動きの特徴が示され、群馬での追悼碑撤去の経過、高麗博物館での強制労働展示の概要が話された。
セッション4は「強制動員解決のための諸課題」である。吉澤文寿「佐渡鉱山のフルヒストリーを考える 1601年から1989年、そして現在まで」、小林知子「「朝鮮人遺骨問題」のこの10年を振り返って」、小林久公「郵便貯金通帳を一日も早く遺族のもとへ」の報告があった。報告は、日本での産業遺産での歴史全体の展示、返還が中断された遺骨の状況、貯金通帳の返還の課題などを示すものだった。
今回のシンポジウムの冊子『日本強制動員研究と活動20年・報告と評価、そして展望』に報告文は全文が掲載されている(詳細はこの報告文集を参照)。