10・14「無罪確定 おめでとう!巌さん」静岡集会
2024年10月8日、検事総長は控訴断念を表明し、翌日、静岡地検は上訴権を放棄、巌さんの無罪が確定した。それを受け、2024年10月14日、静岡市内で「無罪確定 おめでとう 巌さん」静岡集会がもたれ、200人が参加した。集会には袴田巌さんが無罪確定後はじめて参加した。
集会で、小川秀世弁護士、判決が自白調書、5点の衣類、共布の3つを捏造と言い切って無罪としたことを評価し、無罪まで58年かかった原因はこの事件が警察などの捏造、偽造、偽証にまみれた事件だったからと批判した。また検察は衣類の血に赤みが残る可能性をいうだけであるから、弁護側の赤みが残らないという立証も証人弁論もいらないものだったと指摘した。なお、判決での本田鑑定の証拠価値の否定については批判した。
途中、袴田巌さんとひで子さんが支援者の拍手の中、登壇した。巌さんは「長い闘いがありましたが、私もやっとのやっと無罪の、完全な無罪が実りまして」と語った。そして花束を受け、最後に支援者に向かって手をあげて答えた。
弁護団からは田中薫、笹森学、間光洋、伊藤修一、角替清美、伊豆田悦義、戸館圭之氏らが思いを語った。主な発言は、調書の捏造は今も行われている、浜田寿美男鑑定では自白が無実を証明している、地裁の鑑定で弁護側の本田克也鑑定人は手術着姿、検察側の山田鑑定人はスーツ姿であり、その姿は鑑定への姿勢を示すもの、吉村検察官は偽証罪で告発できないか、巌さんの自由の扉を開けたのは本田鑑定であり、裁判官ではない、というものだった。また弁護側の本田、浜田両鑑定人も発言した。
本田氏の発言をまとめておこう。
古いDNAは壊れかけているからその鑑定はその資料の中に眠っているDNAを揺り動かして片言の情報を翻訳して読み取るようなものである。裁判官はDNAがしっかりとした言語であると勘違いしている。DNAを引き出すには技量が必要だ。静岡地裁の村山裁判長は鑑定を感じ取ることができた。
もう一つ、本田氏は禅での悟りについて研究した体験から次のように話した。
巌さんは拘禁症状というよりも、悟りの精神状態となり、自らを神とし、すべてを受け流す状態となることで生きて帰ることができた。それは偉大なことだ。
法医学者が弁護側の鑑定を行うと、警察からの依頼が無くなる。研究ができなくなる。「地獄に落とされたような仕打ち」にあう。だが本田氏は法医学者として、人間としてなすべきことは何かを考え、行動してきたのだった。まさに本田鑑定が2004年の静岡地裁での再審決定判決をもたらし、厳さんを釈放させたのである。
袴田巌さんの再審無罪はこのように多くの人々の良心と支援によって実現したのである。(竹)