5・6布施祐仁講演「従属の代償 日米軍事一体化と米中避戦の道」
2025年5月6日、藤枝市内で憲法集会(布施祐仁講演会)が志太憲法を大切にしよう会と平和憲法を生かそう藤枝市民の会の主催でもたれ、130人が参加した。布施さんはつぎのように話した。
日本政府は米国への従属を国益と信じこみ思考停止しているようだ。このままでは戦争という高いツケを払わされることになる。先日来日した米国の国防長官は、日本を西太平洋での有事の最前線にすると語った。日本を戦場として想定しているわけだ。台湾有事を口実に沖縄から九州にかけて「ミサイルの壁」を築いている。それは中国軍の台湾、太平洋への進出を阻止するためである。日米共同作戦が策定され、日本での長距離ミサイルの開発も進んでいる。
2025年3月には日本で統合作戦司令部が新設された。日米両司令部の調整機構が東京の赤坂プレスセンターに設置される。末端の現場では日米の指揮は一体化している。24年の日米のキーンエッジ演習は台湾有事を想定し、自衛隊が中国軍の強襲揚陸艦隊に攻撃を加えるというシナリオだった。ハワイの演習では自衛隊と米軍がミサイルで艦船を撃沈する訓練がなされた。最初に自衛隊が撃ち込んでいる。米軍のシステムにより、米軍の指揮下で自衛隊がミサイルを撃つことになる。
現在に軍拡と戦争準備をすすめれば、沖縄は再び「捨て石」になる。先島の住民12万人を九州・山口に避難させる計画である。避難先は安全とされるが、それは嘘である。実際には九州は攻撃されることになる。行なわれている演習では、基地への攻撃を想定し、民間空港を利用する訓練をしている。日本全土の戦場化がすすみ航空自衛隊の基地のある場所での地下司令部建設がすすんでいる。
アメリカは台湾有事に介入しようとするのは自国の覇権、利権を維持しようとするためである。偶発的な戦闘が起きかねない状態である。ジョセフ・ナイは米中の相互依存性を指摘し、我々の最大のリスクを我々自身の失敗の可能性と語っている。
日本は中国との友好をすすめ、中国やアメリカには自制を求めるべきである。ASEANは大国間の対立・新冷戦のなかでコマにはならないという立場で、緊張緩和、対話と協力を求めている。紛争予防のための外交が必要である。かつて日本は中国と国交を回復し、それが米中の国交回復にすすんだ。米中の国交回復により、アメリカは台湾から駐留米軍を撤退させ、中国は平和統一の原則を掲げた。
保守政治家の石橋湛山は対米一辺倒を危惧し、日中米ソ平和同盟を求めた。田中角栄も中国との国交回復をすすめた。日本を米中対話の架け橋とし、力の均衡ではない平和的な緊張緩和を志向した。
平和外交が大切である。朝日新聞アンケートでは市民の54%が非軍事での手段を求め、武力行使を認めるものは9%である。このような多くの市民の非軍事による解決の思いを背景にしての「大国の覇権なき新しい世界の実現」は可能である。 (t)