8・15早尾貴紀講演「ガザ抹消は植民地主義の帰結である」

 

 2025年8月15日、浜松市内で浜松・憲法9条の会の主催による早尾貴紀講演「ガザ抹消は植民地主義の帰結である」がもたれ、100人ほどが参加した。終了後、浜松駅前までデモをし、平和を呼びかけた。
 講演の概要は以下である。

 いま、ガザが抹消、殲滅されるという状況である。人口220万のうち、死者6万人というが、瓦礫のなかの見えない死者や餓死、病死、「斡旋移住」などを入れれば、すでに70万人が「除去」された可能性がある。ガザの現状は、限られた領域への追い込み(強制収容所)、政策的飢餓(絶滅収容所)の状態である。

この大量虐殺と強制避難の根源にはシオニズムという入植者植民地主義(セトラーコロニアリズム)がある。シオニズムは植民地主義、人種主義、国民主義を持ち、ユダヤ人のパレスチナ入植によるイスラエル建国はそれをヨーロッパの防壁とする狙いがあった。現状はこのような植民地主義の帰結である。パレスチナ人の帰還権はユダヤ人国家の正当性を揺るがすものであり、ずっと弾圧されてきた。イスラエルはパレスチナ人を一掃するつもりだ。1993年のオスロ合意は占領の外観を隠すための「自治」であり、抵抗を終焉させるためだった。しかし占領の継続はあらたな民衆蜂起、抵抗を生んだ。

いま、イスラエルはガザに「人道地帯」を置き、そこに抵抗勢力から隔離して人びと集め、さらにそこからの追放を狙っている。ガザからの集団追放と地区の乗っ取りという民族浄化は戦争犯罪であるが、それを人道の名で隠ぺいしようとしている。ガザからの追放の次はヨルダン川西岸の占領である。そこはすでに浸食され、陥落しかけている。シオニズムの狙いはパレスチナ全土の掌握である。

アメリカ主導によるイスラエルを軸とした「新中東構想」がある。ガザをイスラエルが占領し、復興させる計画だ。日本のイスラエル化も進み、イスラエルから攻撃型ドローンなどの軍用品を導入、購入しようとしている。

ガザは帝国主義による難民や移民の収容、非国民の選別の場所になっている。このような「ガザ」(ガザ的なもの)は帝国のなかにいる私たちを問うものであり、私たちはその問いに応じるべきである。「いつの日かガザが私たちを打ち負かすだろう」。(以上要約)。

 日本の現状は植民地主義未清算の帰結である。           (t)