2004年7月・静岡県・御殿場市などによる海兵隊移転反対の国への要請書

在沖縄米海兵隊一部の富士営舎地区(キャンプ富士)への移転問題に関する要請

 

 6月21日の新聞各紙に、在沖縄米海兵隊の2,600人をキャンプ富士とキャンプ座間に分散して移転するとの、構想があると報じられたところであります。

 これが事実とすれば、米軍東富士演習場の全面返還を東富士演習場使用協定の根本に据えております地元にとりましては誠に憂慮すべき事態であります。このことから、6月21日付の文書をもって防衛庁をはじめ国の関係各方面に抗議を行なうと共に、7がう2日には外務省を訪問し演習場使用への従来からの姿勢を説明し、事実関係の確認について要請をさせていただいたところであります。

 これに対して、外務所や防衛施設庁からの説明によれば、そのような事実は承知していないとの見解が示され一応安堵したところですが、7月8日のNHKニュースを始め各新聞報道によれば、米国防省が進める米軍のトランスフォーメーションの一環として、在沖縄米海兵隊の一部を日本本土へ分散、その移転先としてキャンプ富士やキャンプ座間の名前があがっております。

 この事について、今月13日に防衛庁を訪れ、15,16日にサンフランシスコで開催される、外務・防衛担当審議官の実務者協議に際し、仮に米側から海兵隊のキャンプ富士への移転構想が示されても受け入れがたいとの判断を賜りますようお願いしたところです。

 しかしながら、このような具体的な話し合いが進んでいるとの報道がなされ、かつ米海兵隊の司令官などから「在沖縄米海兵隊の本州移転が望ましい。また海兵隊と自衛隊との訓練強化に狙いがある。」との見解が表明されるなど、地元として強い危機感を抱いております。

 申すまでもなく、東富士演習場は昭和34年以来、国と地元間で東富士演習場使用協定を締結し、それに基づき適切に運用されてきたところであり、平成12年3月に締結された現在の第八次使用協定に伴う、地元側と防衛庁長官との重要会議に於いて長官は、「米軍東富士演習場全面返還の問題については、従来の重要会談における、米軍富士営舎地区の返還に最大限の努力をするとの回答を確認する。」と発言されています。

 また、昭和57年2月の東富士演習場行政・権利協定当事者合同会議における国との合意議事録として、「東富士演習場全面返還の方針を堅持することにより、東富士演習場において日米共同訓練を恒常化し、日米共同演習場化しないことを確認する。」としております。

 本件に関する一連の報道が事実とすれば地元側と国側とのこれまでの誠意ある実績を根底から覆すことになり、今後の東富士演習場使用協定の運用に支障をきたす事はもとより、改定協議に重大な影響を及ぼすことは必定であります。

 移転先として名前の上がっている我々にとっては誠に不快であり、何らの情報提供や説明がないままに移転が決定されるのではないかと、国に対し強い疑念と憤りを抱いております。

 地元協定当時者はこれまで、住民の身体、生命、財産等安全の確保を図るため、機会あるごとに治安及び安全対策について要請を行なってきたところであります。

 これらの事から、良識におかれましては、米国側から、富士営舎地区(キャンプ富士)への海兵隊移転についての提案がなされた場合、御殿場市裾野市小山町の2市1町及び東富士演習場地域農民再建連盟や静岡県の意の基に、移転受け入れに断固拒否の姿勢を堅持されるよう、重ねて強く要請いたします。

 

平成十六年7月21日 防衛庁長官 石破 茂殿

 

御殿場市長   御殿場市議会議長 

裾野市長    裾野市議会議長 

小山町長     小山町議会議長 

東富士演習場地域農民連盟委員長  

                           (外務大臣にも提出)

 

文国 第179号 平成十六年721

 

外務大臣 川口 順子様          静岡県知事 石川 嘉延

 

在沖縄米海兵隊の一部移転協議への対処について(要請)

 本件行政の運営に当たり、格別の御高配を賜り厚く御礼申し上げます。

 さて、この一ヶ月間、日米間の在日米軍の再編成にかかる協議に関して、在沖縄米海兵隊の一部を本件御殿場市のキャンプ富士へ移転させる案が米国側から提示されているとの報道が繰り返され、地元自治体や関係団体、周辺住民に大きな衝撃を与えております。

 米軍や陸上自衛隊の訓練が行なわれている東富士演習場については、当該演習場の使用と地域の民生安定の両立を図るという観点から、国と地元間で東富士演習場使用協定が締結され、適切に運用されてきたところでありますが、当該協定がキャンプ富士の解消、米軍東富士演習場の全面返還を成立要件としておりますことから、一連の報道に接し、地元では、当該協定が根底から揺るがされることにならないかと強い危機感を抱いております。

 特に、現在運用されている第8次東富士演習場使用協定については、平成17年3月31日をもって満了するため、今秋から、国と地元間で協定の改定協議が始まるものと承知しておりますが、本件は当該協定の立会人の立場にありますので、移転問題が改定協議の支障にならないか大変危惧しております。

 また、東富士演習場では、平成10年2月から104訓練(米海兵隊による実弾射撃訓練)を受け入れ、地元においては、沖縄と痛みを十二分に分かち合ってまいりました。

 ついては、地元の生活安全上の負担が更に増加されることのないよう、また、今後とも東富士演習場使用協定が適切に運用されていくよう、仮に在沖縄米海兵隊の一部をキャンプ富士に移転させる等の提案がなされた場合は、地元としては受け入れ難いことを十分認識され、今後の協議等に対処されるよう要請します。

 

( 防衛庁にも提出)