2006年6月14日水 18時30分から
  講演  韓国の米軍再編は今
    
  韓国市民運動との交流会
  会場 ザザシティパレットCにて
    歌NO!NO!バンド 
  主催人権平和浜松

韓米同盟再編の問題点と平沢米軍基地拡張での抵抗運動

今日は浜松のみなさん、チョンヨンジンです。

今日の午後、浜松の軍事基地と戦争史跡を見学しました。浜松にAWACSが配備され、PAC2に続き今後はPAC3が配備されることを知り、この基地が米軍戦略に組み込まれているということを実感しました。

私は平和と統一を開く人々という市民団体の米軍問題チームを担当し、平沢米軍基地拡張阻止汎国民対策委員会の執行委員です。会場に、平沢での米軍基地拡張に反対する行動を示す写真や新聞、ポスター、バッジなどを持ってきました。

●韓米同盟再編の特徴

今、韓米軍事同盟は「戦略的柔軟性」の名のもとに、対中国封鎖同盟・対北朝鮮攻撃同盟へと再編されようとしています。さらに全世界への紛争に迅速に対応するかたちでの侵略同盟へと変わりつつあります。日米同盟を含めて韓米同盟は対テロ・「平和維持」などの名目で、北東アジアから世界レベルに対応する侵略的同盟へと再編されています。

ノムヒョン政権は民衆に基礎を置いているといえるでしょうか。民衆に基盤を置かない進歩的政策は実行できないでしょう。アメリカに対しては韓米同盟を支持するのではなく、民衆に基盤を置き民衆の力を信じて抵抗すべきでしょう。韓米同盟による再編については再協議をおこなうべきです。キーワードである「戦略的柔軟性」についてアンケートでは韓国民の88パーセントが知らないとするものもあります。国民の知らぬうちに政府間の合意がおこなわれているのです。移転費用も5兆5千億ウォンといいますが、その詳細は示されず、さらに増加するともいわれています。

このようなノムヒョン政権に対しては、汎対策委員会は政権「糾弾」を示していますが、現場では退陣要求も出ています。

     平和と統一を開く人々の活動

 平和と統一を開く人々は1994年6月に結成されました。当時、平和運動は独自のものとして組織されてはいませんでした。先の世代は平和運動を統一運動に付属するとものととらえ、平和運動を組織すべきと考える私たちの世代と論争になりました。その結果、平和と統一を開く人々が結成されました。目標は韓米同盟の撤廃に向けてその根拠を研究し、国民と対話しつつ行動することです。

現在地方本部が7ヶ所、会員は900人ほどです。米軍チームでは韓米同盟や米軍犯罪の問題を研究しています。ほかに平和軍縮チーム、国内での連帯活動チーム、会員用行事の開催チーム、国際連帯チームなどがあります。また平和統一研究所も設立しています。反戦運動をおこない、国防費の引き上げに反対する運動や各種の殺傷武器の導入反対の活動もおこなっています。反米闘争では先駆的な役割を果たしてきました。米軍車両による女子中学生轢殺事件の時にはすぐに現地に行き現地調査や証言を収集しました。

     平沢での米軍基地拡張

米軍再編のなかで、平沢はアジア侵略の兵站基地として、その物理的な土台として349万坪もの土地の拡張がおこなわれようとします。基地村地域を含めると、基地面積は1500万坪余りとなり、それは平沢市の11パーセントを占めることになります。米軍の「迅速な機動性」とは、侵略のための行動力の強化と基地の整備にほかなりません。住民は生存のために、さらに後代へと戦争のための基地を引き継がせないために抵抗しています。

5月4日から5日にかけて、政府は警察1万1千人、軍隊2800人、さらに暴力団700人を動員し、暴力的に農民の土地を奪う動きに出ました。この弾圧によって逮捕連行者は640人余、負傷者は560人余に及びました。抵抗した市民の半数以上が負傷したのです。軍は棍棒で殴りつけ、縄で縛り上げ、暴行を加えて連行しました。かれらは民間人を相手に軍事作戦をおこない、光州事態続く汚辱の歴史をつくったのです。自国民の生命・安全を守らず、土地を奪いアメリカに捧げることをおこなってよいのでしょうか。これは政府が自国民とアメリカのどちらを大切にしているのかをよく示す事例です。

軍隊はその後、ユンボで堀を掘り、鉄条網を敷き、監視所を作って、住民の動向を監視しています。基地拡張予定地はコウノトリが多いのですが、そこは鉄条網に閉じ込められた刑務所のようです。村落への道路は一箇所を除き封鎖され、検問されています。軍人は棍棒を持ってデモ鎮圧訓練をしています。村は監視カメラで監視され、武装兵士が村内を歩いています。政府と国防部は表面的には対話を語りますが、実際には測量をすすめ、六月中の退去を求め、10月からは強制撤去をするとしています。

●再建された平和の旗

現地住民にとっては日本軍による基地建設、朝鮮戦争での基地拡張に続く3回目のたたき出しなのです。政府は市民団体を反米勢力と規定し、住民との関係をひき裂こうとしています。団体幹部への逮捕状を出し、さらに住民対策委員長を逮捕しました。マスコミは、なぜ強制収用するのか、なぜ住民が抵抗するのかについては報道せずに、デモ隊の暴力性ばかりを強調しました。土地を奪われることで現地では農業ができない状況となり、借金がかさむことになります。

大秋里の小学校拠点は破壊されてしまいましたが、今はその喪失感からぬけだしました。闘いはこれからです。組織的な活動が求められています。大秋小にあった平和の旗は運動場を整備して建て直されました。市民団体は抵抗の意思を示し、6月6日から大統領府前で無期限のハンガーストライキに突入しました。拘束された人々もハンガーストライキに入りました。6月18日には汎国民大会が開催されます。7月9日には第四回の平和大行進がおこなわれます。

同意なき土地収用と朝鮮半島での戦争のための基地建設はいりません。不法な鉄条網を撤去し平和をつくっていきたいと思います。      

 2006年6月14日 浜松での講演の要約(文責・人権平和浜松)