〜全国に広がる戦争非協力の動き〜

 2001年2月10日〜11日にかけて、昨年の函館での集会につづいて、「第2回非核平和
条例を考える全国集会」が横須賀でもたれた。

●横須賀は今

 かつて横須賀は佐世保、呉、舞鶴とともに旧海軍の拠点基地であり、横須賀の海軍工廠でつくられた兵器はアジア侵略に利用された。
 横須賀線、基地拡張、地下壕建設には多数の朝鮮人が強制連行されて労働を強いられている。海軍軍属として徴用され、ここから太平洋の島々へと連行され死を強いられた人々も多い。
 
 現在、横須賀には、米第7艦隊の司令部がおかれ、在日米海軍の拠点となっている。巨大な在日米軍基地をささえるような形で海上自衛隊の基地がある。第7艦隊の旗艦ブルーリッジや空母キティホークなどが横須賀を母港としている。

 港の公園にたつと旧軍の「軍港逸見門」などの遺跡がある。そこから海をながめると左に海自、右に在日米軍の軍艦がみえ、彼方には修理用の巨大なクレーンがいくつもならんでいる。

 バザーでにぎわうドブ板通りをぬけると在日米軍基地のゲートがある。休日のため米兵、家族が外出し、Yナンバーの車が出入りしている。
 入口にはビデオカメラをおいたチェック用ゲートがあり、左横に日本の交番、門の近くには日米地位協定について記した標識もおかれている。

 横須賀在日米軍基地をめぐる焦点は、原子力空母の母港化問題である。在日米軍は、母港化のために基地内の12号バースの延長工事をすすめようとしているが、市民グループが反対運動をすすめている。

 原子力空母は動く原発といっていい。母港化は、深刻な放射能汚染や労働者被爆をもたらす。12号バース周辺では水銀・ヒ素・鉛などの汚染がすすみ、環境破壊があきらかになっている。
 また、横須賀への原子力潜水艦入港のたびに異常な放射線値が記録されている。
 市民グループは横須賀市長に原子力空母の母港化に反対の意思を示すように要請を行っている。署名集めも継続している。
 今回の全国集会には約800人が参加した。集会の前面に出たのは横須賀で反基地運動を担ってきた非核市民宣言運動ヨコスカやNEPAの会のメンバーであり、自治労や教組、平和運動センターに所属する人々の参加があった。

●自立したたたかいによる平和の種を

 2月10日には全体会、11日には分科会がもたれた。
 全体会では山内徳信さん(元読谷村長)が記念講演をおこなった。山内さんは日本を「軍事的植民地」と規定し、この状況を変革するために自ら村長として先頭にたって反基地の村づくりをすすめた活動について紹介した。
 「基地をのりこえるのは憲法と文化の構造」であるとし、人間性を基礎とし、憲法、ときには笑いやにらみをも武器としての村ぐるみのたたかいをすすめたとし、村独自の外交活動についても紹介した。村づくりでは、非核宣言、平和決議、沖縄戦50周年事業、碑の建立、

 平和創造展のとりくみ、座喜味城の復元と世界遺産化、基地内での文化スポーツ施設の建設などをおこなってきたことを語り、「正しいことは否定できない」「たたかいは具体的、合理的、科学的、民主的であること」が大切だと語った。

 現在、「日本人は誇りや夢、希望そして真の民主主義を失い、欲にあけくれている」とし、このような現実を変革し、「日本を救い真の独立にむかおう。
 ここに参加した人々が崇高なたたかいの先頭に立っている」「自らの良心からの自立したたたかいを基礎に、平和の種をまきつづけよう」と訴えた。

●各地からの報告

 函館、小樽、帯広、横須賀、厚木、広島、沖縄から報告おこなわれた。

 これらの報告で港湾や空港を米軍が強引に使用していることやNLPの実施による騒音の現状などがあきらかにされた。それに対し、市長が「市民感情」をタテに抵抗の意思を示していることや、米軍との友好を中断する動きがあらわれていること、市民による平和条例制定
の動きも高まっていることが報告された。港湾における自治体の権限は米軍の入港を止める力をもっている。それを平和運動の側が自覚し抵抗の武器にしていくことが今回の集会のテーマだった。
 この日におきたハワイでの米原潜による実習船転覆事故に対する抗議文も緊急に採択された。

●地域から平和を!平和の船を出そう

 2月10日夜には150人ほどで全国交流会がもたれた。そこで静岡からの参加者3人とともに会場で東富士、浜松、清水(軍港化)の問題をアピールした。
 その後小さな店で横須賀・呉・関西の仲間とゆっくりと話し合った。
 2月11日には分科会がもたれ、第1分科会の非核平和条例の運動と第3分科会での横須賀原子力空母母港化問題のレポートを聞くことができた。

 第1分科会では「地域から平和を創る」という冊子が出された。分科会では函館・小樽・帯広での軍艦や軍用機の入港・着陸への抵抗の動きが報告された。
 苫小牧港へのブルーリッジの入港の中止(2月)、横浜港湾4社の軍事荷役・輸送の拒否方針(昨年8月)、各地での平和条例制定の動きなど戦争非協力の動きは高まっている。
 さらに各地で反戦平和への創意あるとりくみがもとめられているといえるだろう。
 第3分科会での横須賀の報告については『基地の汚染と原子力空母の母港』というパンフレットに現状がわかりやすく記されている。一読をすすめたい。
 またビデオもある。なお、昨年の函館集会の冊子も出されている。
 横須賀ではピースフェスティバルが毎年もたれている。『ピーフェス10年史』をみると横須賀での反基地運動を知ることができる。
 非核市民宣言ヨコスカは平和船団とともにHPを作成し、隔月刊の「たより」を発行している(NO!の会のニュースと交換している)。ヨコスカでの毎月の定例デモは今年の1月で300会をむかえた。
 このデモで活躍しているよろずピースバンドの今回の全国集会での演奏もよかった。
 ちなみにこのバンドは99年4月の日比谷の全国集会でNO!NO!バンド(NO!AWACSの会のバンド)とステージで演奏した。

“戦争にいくな、原潜をとめろ”
“われらの怒りを追い風にして平和の船を出そう”
“手をつなぎ小さなボートをこぎ出し、われらの旗を海原にかかげよう!”
“港は軍艦を拒否する 地域から平和を創ろう”

 このようなメッセージにつつまれた内容のある全国集会だった。なお、98年8月のキティホーク横須賀母港化反対デモのときに横須賀のグループにわたしたNO!の会作成の「NO!キティホーク」の横断幕はときどき現地のデモで使われている。