2004・12・4全国同時証言集会
「消せない記憶」静岡集会
集会趣旨
○「12・4全国同時証言集会『消せない記憶』」とは・・・
日本軍「慰安婦」被害女性を被害各国から招待して当時の証言を聞くと同時に、日本軍「慰安婦」問題についてのワークショップやパネルディスカッションなどを行う集会を、日本各地10ヶ所で同日同時刻に一斉開催する企画です。この集会を通して、より多くの人々にこの日本軍「慰安婦」問題とその現状を知ってもらい、ともに学び考える機会を提供すると同時に、被害女性の求める日本政府による公式謝罪と法的賠償
の早期実現を訴え、そのために私たちがするべきことを考えていきたいと思います。
静岡では大学生が実行委員会をつくり、静岡市内で『マルディエム彼女の人生に起きたこと』の上映会がおこなわれました。参加は約20人。
静岡の企画の案内文から引用
わたしたちは静岡大学、静岡文化芸術大学などの学生を中心に、実行委員会をつくっています。日本軍「慰安婦」問題にふれたきっかけは皆さまざまですが、彼女達を支援したい、公的謝罪と賠償を逸早く実現させたいという共通の思いを持ってとりくんでいます。
この問題は、被害女性達だけの問題ではなく、過去の問題でもなく、わたしたちに戦争そのものや歴史認識の問題、男女の性や人権などたくさんの問題をなげかけてくれます。今を生きるわたしたちに直接かかわってくる問題なのではないかと考えます。このままこの問題を放置し、消し去ってしまうことは、未来に同じ痛みや苦しみを繰り返し生み出してしまうことにつんがるのではないでしょうか?
日本で生きるわたしたちは、このことをたくさんの人に投げかけ、被害女性達の求める「公式謝罪と賠償」に向けて取り組んでいきたいと考えています。12月4日、全国同時開催のアクションに、静岡では「Mardiyem彼女の人生に起きたこと」の上映会を開くことで参加します。
静岡の集会に参加して
集会では主催者挨拶の後、映画が上映された。上映後、「慰安婦」問題の現状、東京麻糸紡績沼津工場の朝鮮人連行裁判、女性国際戦犯法廷などについての学生による調査報告があり,共同声明が読みあげられた。 この問題をわたしたちの未来のためにも考えていくという発言が印象に残った。
映画は、海南友子監督によるものであり、インドネシアのサバイバーであるマルディエムさんの活動をおったものである。
マルディエムさんは1942年、13歳のときに日本軍によって性的奴隷とされた。かの女は甘言でジャカルタからスラバヤを経て、ボルネオへと連行された。日本軍の「慰安所」では「モモエ」とよばれた。その建物は市場となり今も残っていた。かの女はいう。「男を愛することができなくなった。人を愛せなくなっていった」と。
かの女はいま、口先で謝罪の言質を弄し個人への賠償を拒否する日本政府と被害認定に取り組まないインドネシア政府とたたかっている。
サバイバーたちはいう。「日本は口だけであり、50年経っても反省していない」「日本政府は私が死ぬのを待っているようだが、私は絶対死なない」と。そこには忘れようとしても忘れることができない記憶とそれらの経験を歴史に残して思想としていこうとするかの女たちの熱い想いがある。
映像の中に日本兵が髪を引っ張り、殴りつけ、さらに胸をかきむしるようにして体を奪っていった状況を身振りで示す場面があった。映像で示される姿のその一瞬の静寂が、強い叫びを放っていた。
あるサバイバーの父は日本軍に殺され、かの女は家を売って子宮の手術代金とした。腹部には切開の後が縦に大きく残っている。それを映像がとらえる。時効なき戦争犯罪を問いかけるように腹部の傷跡は呼吸し震えていた。
これらの歴史は消すことができないものであり、またその尊厳の回復の軌跡でもある。そしてこの歴史は今も未清算のまま、攻防戦のなかにある。
あらたな戦争と殺戮がすすむ今、戦争被害者の尊厳の回復の視点から反戦平和の論理と運動を、過去と今を貫くものとしてつくっていくことが求められているように思う。
(T)