銀 杏
生駒孝子
その線路の前に立つと降ってくる
大きく手を広げた黄金色の葉たちが
光を集めて雪崩れ込んでくる
透き通った橙の陽が、その空ろへと
私を吸い上げて溶かしてゆく
あなたは赤く焼けただれた石の上に
座り込んでいる
弾かれ、削られ、組み敷かれた痛みを
重ねているのか
光で編み上げた衣に、あなたを押し包み
私の胎内に匿おう
あなたの痛みは翡翠色の涙になって
こぼれ落ちるだろう
その線路の向こう側に
萌え出づる日を待つ
あなたが私を突き破り
新しい命を芽吹く時
碧い光を集めて旅立ちて行け