未来へ
生駒 孝子
この原発村から伸びている送電線は、
遥か遠い都会へと繋がっている
今宵も恋人たちは、輝く灯の海を
見下ろしながら愛を語るのだろう
私は瞬く星を見上げながら、
結婚への憧れを友と語り明かしてみたい
休日には若い夫婦が、回転木馬に跨った
子どもと手を振り合うのかもしれない
私は陽を受けて碧く輝く海で
子どもと素潜りを楽しむ夢を見たい
私は太陽の下で未来に繋がる恋をしたい
教えてください
私はお母さんになれますか?
私の未来も「想定外」なのですか?
泊原発近隣在住の女子中学生に
防人の妻の詩
生駒 孝子
あなたは、空の防人であることを
誇りとした人だった
あなたが闘ったのは、この国の闇
いじめという名の内なる敵だった
防人を讃えよ
与えられた傷の報いも求めず
ひとり逝った魂をこそ讃えよ
国よ 防人を護れ
己が民を守るため
今宵聞こえ来るのは、三線で奏でる
あの人の古里の唄
会いたくて会いたくて
もう会えないその笑顔
今度は私が
あなたを映す愛し子の
防人となって生きていく