8・31富士市での水道民営化「ウォーターPPP」の動き
2025年8月31日、富士市のまちづくりセンターで「上下水道民営化についての勉強会」があり、尾林芳匡弁護士の講演が開催された。Zoom参加も含め100人程が参加した。
日本政府は水道事業の官民連携の一手法である「ウォーターPPP」を導入した。コンセッション方式は契約期間が20年間から25年間と長いため導入が広がっていない。そのため、「ウォーターPPP」は水道民営化を導入しやすいようにと下水道を中心に期間を10年と短くした新しい形態だ。ウォーターPPPを導入しないと、今まで国が自治体に出していた下水道の補助金を打ち切るという脅しまでかけている。国交省Q&Aによれば、ウォーターPPPは契約後10年間でコンセッション方式に移行することも明記されている。あまり話題になっていないが、住民にとって大変危険なものである。
尾林弁護士は、水道法1条は、清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、公衆衛生の向上と生活環境の改善に寄与することであり、それは憲法25条2項の公衆衛生の規定による。公衆衛生は一つの自治体では守れないので、国が責任を持つ必要がある。ウォーターPPPは多くの場合、リスクは自治体と住民が負い、資本側が利益を最大にえるものであると強調した。
「ウォーターPPPについては知らなかったが、尾林弁護士の講演は大変わかりやすく、水道民営化はとんでもないことだ」という感想が寄せらた。
富士市はすでにウォーターPPP導入を決め、9月には契約企業も決まってしまった。地元水道業者は含まれていない。勉強会の主催者に伺ったところ、「できることはやっていく。地元の業者と話してみる」と言っていた。全国的に、施設の老朽化や人口減少を理由として水道料金の値上げが相次いでいるが、憲法と水道法にもとづいて国が財政支援をすべきだと考える。 (池)